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明治大学農学部アグリサイエンス研究室(玉置雅彦教授)はこのほど、目に見えないオゾンの微細気泡(マイクロバブル)を用いて、青果物の残留農薬の除去や、水耕栽培における病原菌の殺菌に成功した。9月26日に秋田大学で開幕する「園芸学会秋季大会」で研究成果を発表する。オゾンマイクロバブルによる農薬除去や殺菌だけではなく、酸素のマイクロバブルを用いれば、水耕栽培されている農作物の発育促進も可能といい、玉置教授は「まだ市場の小さい水耕栽培の効率化など、マイクロバブルは農業に広く応用できる」として、これらの技術の早急な実用化を目指している。
マイクロバブルは特殊な発生装置を用いて水中に発生させる気泡で、その直径は50マイクロメートル(1マイクロメートル=100万分の1メートル)より小さく、肉眼で捉えることは不可能である。極めて微細なために浮力が失われるので、気泡が気化せずに水中に長時間とどまることができるのが特徴。排水の浄化や養殖カキの成育促進などの分野ではすでに実用化されているが、農業分野においては導入がほとんど進んでいないのが現状だ。
研究室が行ったオゾンマイクロバブルによる残留農薬の除去実験では、サニーレタス、イチゴ、ミニトマトの各青果物を農薬(有機リン系殺虫剤)に長時間浸け込んだ後に、殺菌効果の高いオゾンのマイクロバブルを溶け込ませた水と、脱塩素水道水にそれぞれ浸漬させた。その結果、いずれの青果物においても、脱塩素水道水よりオゾンマイクロバブル水の方が極めて効率よく農薬の除去に成功した。特にサニーレタスでは、オゾンマイクロバブル水に浸けてから30分で60%、1時間で80%、24時間後にほぼ100%除去されるなど、高い除去効果があった。極限まで微細な気泡となったオゾンが青果物の内部にまで浸透し、農薬を効率よく除去することが実証されたことになり、玉置教授も「残留農薬除去の極めて有効な技術になり得る」と、大きな手応えを感じている。
また、オゾンマイクロバブルによる病原菌の殺菌実験では、散気管で発生させた通常のオゾンよりもオゾンマイクロバブルの方が、農作物の萎凋病や軟腐病の原因となるフザリウム菌や軟腐菌の殺菌効果が高いことも判明した。農薬取締法によって、水耕栽培で使う培養液に農薬を混ぜることは禁止されているが、もしマイクロバブルが実用化されれば、農薬を使わずに培養液の殺菌が可能になる。一方で、菌の種類によっても殺菌効果は異なることから、菌ごとに殺菌方法を検討する必要もあるとのことだ。
食料の安定的供給と農業の産業化の実現のため、明治大学が建設する「植物工場」(経産省の先進的植物工場施設整備費補助金に採択)で今後、引き続きマイクロバブルの実用化に向けた実験が行われる予定である。
▼本件に関する問い合わせ先
・明治大学農学部アグリサイエンス研究室(玉置教授)
TEL: 044-934-7045
・明治大学経営企画部広報課(西川)
TEL: 03-3296-4330
大学・学校情報 |
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大学・学校名 明治大学 |
URL https://www.meiji.ac.jp/ |
住所 東京都千代田区神田駿河台1-1 |
学長(学校長) 上野 正雄 |