明治大学

次世代エネルギー・太陽電池の能力を極限まで引き出す! 明治大学・小椋教授らの研究が戦略的創造研究推進事業(CREST)に採択──「光」と「キャリア」の完全利用で、太陽電池の高効率化と低コスト化目指す

大学ニュース  /  先端研究

  • ★Facebook
  • ★Twitter
  • ★Google+
  • ★Hatena::Bookmark

太陽光を利用したクリーンエネルギーの生成技術に関する、明治大学理工学部の小椋厚志教授と兵庫県立大学工学研究科の佐藤真一教授の共同研究課題「界面局所制御による光・キャリアの完全利用」がこのほど、独立行政法人・科学技術振興機構(JST)の平成21年度戦略的創造研究推進事業(CREST)に採択された。太陽電池の高効率化と低コスト化を目指す研究内容で、研究期間は今年10月からの5年6カ月間である。太陽電池の受光面に入射する「光」と、その光のエネルギーによって発生する「キャリア」を完全利用することで、現状ではエネルギー効率の低い太陽電池の潜在能力を極限まで引き出すことを目標としている。

 JSTは環境分野などにおけるイノベーション(技術革新)の推進や、あらゆる研究成果の社会への還元を目指す機関である。CRESTは産業や社会に役立つ技術の創成を目的に、研究者を一定期間組織化して研究の推進を図る事業を指す。同事業の研究成果の中から、過去にアモルファス金属や青色発光ダイオードなどの大型技術が市場化されている。

 今回の共同研究においては、「光」と「キャリア」の損失が現状では発生してしまう太陽電池と表面膜との界面に着目。表面膜に使用されている「シリコン窒化膜」の密度などをどう変えれば最もエネルギーを効率化できるのかを研究するとともに、シリコン窒化膜に代わる新たな表面膜材料には何が適しているのかも併せて研究し、それぞれの研究成果によって「光」と「キャリア」の完全利用=太陽電池の能力の極限化を目指す。研究期間は、平成21年10月から平成27年3月まで(5年6カ月間)。

 2008年7月に閣議決定した、政府の「低炭素社会づくり行動計画」に掲げられた太陽光発電の導入量目標を実現するためには、太陽電池性能の飛躍的な向上が必須である。今回の研究が実用化に至れば太陽電池の変換効率が3~6ポイント上がることが期待できるといい、小椋教授は「太陽電池の能力を極限まで引き出すことに成功すれば、地球環境にも寄与できると信じている」と話している。

▼本件に関する問い合わせ先
●明治大理工学部電気電子生命学科
 小椋厚志教授 TEL: 044-934-7324
●明治大・生田研究知財事務室
 福場 TEL: 044-934-7720
●兵庫県立大学大学院 工学研究科 電気系工学専攻
 佐藤真一教授 TEL: 079-267-4869