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工学院大学と工藤建設が、縦軸風車による風力発電で共同研究――日本の風に適した縦軸タイプの高性能小型風力発電の実用化へ

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工学院大学流体工学研究室と工藤建設株式会社は、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の2010年度「新エネルギーベンチャー技術革新事業」に採択され、縦軸風車の風力発電設備の実用化へ向けた共同研究を開始した。

 工学院大学工学部機械工学科の流体工学研究室と工藤建設株式会社(本社:岩手県奥州市)は、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の2010年度「新エネルギーベンチャー技術革新事業」に採択され、縦軸風車の風力発電設備の実用化へ向けた共同研究を開始した。

 この共同研究は、NEDOが7月30日に発表した2010年度「新エネルギーベンチャー技術革新事業」において、「風力発電その他未利用エネルギー分野」で『自己起動特性を向上した直線翼縦軸風車の実用化開発』のテーマで採択されたものである。
 今回、開発する直線翼縦軸風車は、風向きの影響を受けない垂直軸タイプの風車で、従来、風力発電で採用されているプロペラ型風車に比べ、シンプルな構造で制作も簡単であり、コスト的に有利で、さらに静音性にも優れている。しかし、実用的な発電効率を実現できず、一般に普及していなかった。
 これまでの研究により、直線翼縦軸風車が家庭用の電力を生み出すだけの高い発電効率の目途が立ったことから、市街地のビルや個人住宅において、設置可能な低価格で提供することを目指している。

 工学院大学流体研究室では、水野明哲教授のもとで10年以上前から直線翼縦軸風車に着目して、八王子キャンパスで直線翼縦軸の風車を試作・設置を重ねて研究をしてきた。その研究成果から、翼の前縁近傍の表面に凹凸を付与することにより、翼の性能を向上させる乱流形成促進装置を考案し、乱流形成促進部を備えた垂直軸風車の風力発電に関する特許を取得している。

 工藤建設は、建設業界において60年の歴史を持つ企業で、経営方針に「再生可能エネルギーで未来を開く」を掲げている。すでに1997年より風力発電システム開発の事業を開始して、垂直縦軸風車を開発・販売してきた実績がある。今後、同社は自然エネルギー部を中心に、自然エネルギー活用事業を強化しており、垂直縦軸風車の事業を主力事業に成長させる計画だ。

 今後両者は、それぞれの技術と経験とを組み合わせて、実用化に向けた産学連携による共同開発を展開していく。
 なお、工学院大学では、中日本ハイウェイ・エンジニアリング東京株式会社と風力発電装置の高速道路への導入に関する共同研究(技術交流)を行っており、当面は実用化において、高速道路における導入を睨んで、関係各社と協力して市場を開拓していく予定である。

▼本件に関する問い合わせ先
 工学院大学 広報部
 〒163-8677 東京都新宿区西新宿1-24-2
 TEL: 03-3340-0126
 FAX: 03-3340-2440