立命館大学

バイオ土壌浄化システムに用いる「油分解菌」が経済産業省・環境省の「微生物によるバイオレメディエーション利用指針」大臣確認を取得――立命館大学

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立命館大学生命科学部教授・久保幹および株式会社熊谷組、日工株式会社は、各社が開発したバイオ土壌浄化システムの工法および油分解菌が経済産業省および環境省の「微生物によるバイオレメディエーション利用指針」において、平成23年5月6日付にて「適合」しているとの大臣確認を受けた。難分解性のシクロアルカンを主体とした油汚染土壌の浄化事業では日本初となる。

 立命館大学(生命科学部:滋賀県草津市野路東1-1-1 学長:川口清史)生命科学部教授・久保幹および株式会社熊谷組(本社:新宿区津久戸町2-1 取締役社長:大田弘)、日工株式会社(本社:兵庫県明石市大久保町江井島1013-1 取締役社長:深津隆彦)は、各社が開発したバイオ土壌浄化システムの工法および油分解菌が経済産業省および環境省の「微生物によるバイオレメディエーション利用指針」において、平成23年5月6日付にて「適合」しているとの大臣確認を受けた。

◆プロジェクト概要について

【背景】

 立命館大学、(株)熊谷組、日工(株)の共同研究グループでは、平成17年度から、バイオ土壌浄化システムの確立を目指して、高分解能を持つ油分解菌を利用した手法の開発に取り組んできた。
 これまでに石油に汚染された土壌において、微生物を使って効率的に浄化するバイオレメディエーション技術を産学官連携で開発してきた。本技術には、「土壌混練工法」と「原位置注入工法」の二つの工法がある。
 「土壌混練工法」は、日工(株)とともに経済産業省の「地域新生コンソーシアム研究開発事業」(2005~2006年度)の支援を受けて開発した。
 「原位置注入工法」は、(株)熊谷組、星和電機(株)とともにNEDO(独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)の「大学発事業創出実用化研究開発事業」(2006~2008年度)の支援を受けて開発した。

【経済産業省・環境省の「微生物によるバイオレメディエーション利用指針」大臣確認を取得】
 2011年5月6日には、経済産業省・環境省の「微生物によるバイオレメディエーション利用指針」に本技術が適合しているとの大臣確認を取得した。このことにより「土壌混練工法」と「原位置注入工法」を、実際の石油汚染土壌の浄化事業に投入することが可能になった。
 2003年に土壌汚染対策法が施行されて以降、土地の売買や再開発に当たっては土壌や地下水の汚染対策が義務付けられるようになり、2006年には油汚染対策ガイドラインが制定され、油膜や油臭にたいしても対応が迫られるようになった。
 このような中で、バイオレメディエーションは熱処理や洗浄処理などに比べて、比較的低コストで環境に優しい形で浄化する技術として注目を集め、施工件数は2002年~2006年にかけて4倍近くに急増した。しかし、当初の技術では、処理に半年~1年以上かかることや、汚染された土壌を掘り起こさなければならないこと、投入した微生物の環境への悪影響に対する懸念などが指摘され、施工件数は2006年以降、低減傾向にあった。
 本研究グループが開発した「土壌混練工法」は、これまで半年~1年かかった処理期間を1.5ヶ月程度に短縮し、「原位置注入工法」は建物を壊さずに原位置で的確に浄化することを可能にした。
 また、両工法ともシクロアルカンなど難分解性の炭化水素を効率よく分解する微生物を用いるとともに、立命館大学の環境DNA解析法などを活用した環境影響評価手法を確立した。

【今後の方針】
 上記の内容を踏まえ、バイオレメディエーションをめぐる懸念要因の解決を促進することになり、規制が強化された改正土壌汚染対策法(2010年施行)に対応して土壌浄化事業を大きく拡大できると期待している。
 また、汚染された工場やガソリンスタンド跡地の商業施設や住宅地への転換など土地の有効活用を促進し、地域経済の活性化や雇用の拡大にも貢献していきたいと考えている。

▼本件に関する問い合わせ先
  立命館大学 リサーチオフィス
  TEL: 077-561-2802