工学院大学

地元の手(工務店・職人)で東北地方の美しい「村」を再生――工学院大学の「村」再生プロジェクトが上棟式を実施

大学ニュース  /  教育カリキュラム  /  先端研究  /  産官学連携  /  学生の活動  /  地域貢献  /  その他

  • ★Facebook
  • ★Twitter
  • ★Google+
  • ★Hatena::Bookmark

工学院大学では同大ならではのノウハウを活かし、東日本大震災の復興へのさまざまな取組みを実施。4月からは、建築学部の後藤教授の主導のもと、恒久復興住宅プロジェクト(K-engine Project)を展開している。このプロジェクトは、仮設住宅そのものを否定するものではなく、仮設住宅と常設復興住宅のバランスのよい供給こそが被災者の生活再建と地域復興に必要との信念のもと、被災地における応急的仮設住宅に替わる「恒久的復興住宅の建設」を主旨として発足した。

 このプロジェクトは6月に着工。7月に地鎮祭が執り行われ、そしてこのたび上棟式を迎えることとなった。大学が、被災地支援で復興住宅そのものの提供を行うことは他に例を見ないことだが、現地で被災された住民の人々からも完成が待ち望まれているだけでなく、自治体や業界関係者からも注目されている。

 東北地方では、この震災によって多くの被災者がその住居を失った。仮設住宅は応急措置であり、将来的に撤去されるものであり、また、居住性と美観の観点からも、被災者の本格的な生活再建のためには新たな恒久住宅の建設が必要とされる。二度にわたる建設費の負担がかかってくるのである。また、三陸地方の限られた平地に建てられた仮設住宅から、新たな恒久住宅への移行にも課題を抱えることが予想される。
 当プロジェクトでは、仮設住宅以外の選択肢のひとつのモデルとして、木造戸建ての恒久住宅を安価で供給できるよう計画されている。また国産材を利用し、地場の工務店が建設を担うことで、林業への貢献と雇用の創出という地域経済への貢献も果たすことができると考える。また、今後の公営住宅の建設も大量供給と公平性を鑑みると、鉄筋コンクリートの集合住宅になると予想されるが、無機質な住宅ばかりでは、三陸地方にかつて存在していた地域性豊かな風景は失われてしまう。地域に根ざした木造住宅であれば、地域性の継承と共に、東北地方本来の美しい「村」の再生が生まれるのである。そして、一定の時間が経過して被災者の方々の生活が安定した時に、家の増改築を行うことも木造住宅では可能である。
 「村」再生計画では、全11棟のうち、10棟は、平屋3棟・2階建て7棟の個人住宅を予定。1棟は共同利用が可能な形の2階建てとなっている。移転により失われがちなコミュニティの場として予定しており、東北地方に旧来からあった互助精神のある共同体の保護・維持にも貢献できる。

 以上のコンセプトのもと、始動した同プロジェクトは、株式会社MonotaROの協力と民間からの寄付を原資に進めている。今後は、民間からの寄付を国からの予算支援等に置き換えた政府の災害公営住宅制度などにより、同様のコミュニティ建設が行われることを期待している。
 現場は三陸の海を望む美しい景観の高台に位置している。9月15日(木)には、後藤教授をはじめ、関係者列席で上棟式が執り行われる。美しい「村」再生の第1章が始まる。

◆石巻市北上町白浜復興住宅上棟式
 【日時】
  2011年9月15日(木)10時30分~ 上棟式開始(終了後、ご質問を承ります)
 【場所】
  宮城県石巻市北上町十三浜字下山復興住宅敷地内
 【駐車場】
  宮城県石巻市北上町十三浜字下山45番地
 ※「村」再生プロジェクト の概要・詳細は添書(4枚)をご参照ください