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世界初「マイクロプラズマ励起大面積高出力深紫外発光素子(MIPE)」の開発に成功 ~国連水銀条約をクリアする水銀フリー大面積・高出力深紫外発光を実現

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立命館グローバルイノベーション研究機構(R-GIRO)の青柳克信・特別招聘教授と株式会社PIリサーチの黒瀬範子・主任研究員は世界で初めて「マイクロプラズマ励起大面積高出力深紫外発光素子(MIPE)」の開発に成功した。

 MIPEは、マイクロプラズマから引き出されて、高エネルギー状態になった電子が、AlGaN多重量子井戸を励起する際に深紫外光を出すという仕組みで、全く新しい発光の方法である。

 深紫外光は、浄水場の水や病院・工場のクリーンルームの空気の殺菌、ホルムアルデヒドなど難分解物質の処理や、化学物質の計測などに幅広く利用されている。これまで、深紫外波長領域の光源として、世界の9割以上のシェアで水銀ランプが使われていた。しかし、水銀の使用は2013年秋に国連の水銀条約(水俣条約)締結によって大幅な使用規制が予定されており、現在、代替え光源の開発が緊急課題となっている。

 代替としてこれまでは、電流注入型深紫外半導体発光素子(深紫外LED)が最も有力な候補であった。しかしながら、深紫外LEDは、寿命が長く小型である等の利点の反面、出力が小さく、水の浄化や、難分解物質の分解、光化学合成、病院での院内感染防止、アトピー治療等の医療応用など、大面積、高出力を必要とする応用が難しいのが現状である。

 今回、開発に成功したMIPEは性質上、プラズマデスプレイのように大面積化することが可能であるため、深紫外LEDに比べて高出力の発光が得られることや、発光の波長を用途に合わせて変えることも可能である。また、デバイス作製プロセスが簡単であるため、製造コストが深紫外LEDに比べ1/5~1/10になるなどの利点があり、水銀ランプに取って替わる光源として将来を期待される。

 本研究の成果は、研究論文として米国の物理学会誌Applied Physics Letters (2013 vol. 102 ) の電子版に2013年1月31日付で掲載された。

▼本件に関わるお問い合わせ先
 立命館大学リサーチオフィスBKC (担当:安川)
 TEL: 077-561-2802
 立命館大学広報課 (担当:岡本)
 TEL: 075-813-8300

3890 深紫外発光素子(MIPE)