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東京工科大学(東京都八王子市/学長:軽部征夫)応用生物学部の山本順寛教授らの研究チームはこのたび、全身の疼痛と慢性疲労を伴う「小児線維筋痛症」(※1)がコエンザイムQ10(※2)の欠乏によって起こることを明らかにした。これは、横浜市立大学医学部小児科との共同研究によるもの。今後は同物質の投与による治療に期待がかかる。なお、同研究結果は学術誌『RedoxReport 2013』に掲載された。
【背景と目的】
「線維筋痛症」は、全身の疼痛と慢性疲労を伴う原因不明の難病で、近年、小児でも発症することが明らかになってきている。根本的な治療法はなく、ミトコンドリア機能不全による筋肉の酸化傷害が重要との説が有力とされている。こうした中、山本順寛教授らの研究チームは横浜市立大学医学部小児科の協力のもと、小児の線維筋痛症患者の血漿酸化ストレス(※3)マーカーを測定し、検証を行った。
【成果】
小児線維筋痛症の患者は、同世代の健常小児と比較して有意に血漿酸化ストレスマーカーが高いことが明らかになった。また、同患者が「高コレステロール血症」(※4)であること、体内のコエンザイムQ10が少ないことも新たに発見された。そこで、患者にコエンザイムQ10を投与したところ、高コレステロール血症の改善と疲労度の軽減が認められた。
【社会的・学術的なポイント】
小児線維筋痛症患者の酸化ストレスが亢進していることが明らかになったことで、抗酸化物質による治療が注目される。なかでも同患者がコエンザイムQ10の欠乏症であること、またコエンザイムQ10の投与により、コレステロール代謝および疲労度の改善が認められたことから、同物質の投与が有望と考えられる。
(※1)線維筋痛症: 18箇所の圧痛点のうち11箇所で痛みを感じる場合、線維筋痛症と診断される。全身の恒常的な痛み、全身疲労、不眠などを伴う。女性が男性よりも約7倍多く発症する。
(※2)コエンザイムQ10: ミトコンドリアのATP生産に不可欠な因子として単離される。全身のあらゆる場所に存在し、ビタミンEやビタミンCと同等の重要な抗酸化物質と考えられている。
(※3)酸化ストレス: 生体内の酸化反応と還元反応のバランスが崩れ、前者に傾く状態。さまざまな病気や老化のリスクが高まると考えられている。
(※4)高コレステロール血症: 血液中のコレステロール濃度が高い状態で、心臓病などのリスクが高くなる。
▼本件に関する問い合わせ先
東京工科大学 応用生物学部教授 山本順寛
Tel: 042-637-2918
E-mail: junkan(at)stf.teu.ac.jp
同広報分室(ブランデックス・ジャパン)担当:園原
Tel: 03-3564-2361
E-mail: sonohara(at)brandex.co.jp
※(at)は@に置き換えてください。
大学・学校情報 |
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大学・学校名 東京工科大学 |
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URL https://www.teu.ac.jp/ |
住所 〒144-8650 東京都大田区西蒲田5-23-22 |
学長(学校長) 香川豊 |