立命館大学

ホンモロコの精巣を用いた細胞株「もろこセンサー」の作製に成功 ~環境ホルモンがホンモロコの生殖巣に与える影響を細胞レベルで評価可能に――立命館大学

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立命館大学薬学部 高田達之・教授、檜垣彰吾・研究員は、琵琶湖の固有魚種であるホンモロコの精巣細胞を用いた細胞株「もろこセンサー」の作製に初めて成功した。これにより、ホンモロコの生殖巣(精巣)に及ぼす内分泌撹乱物質(以下、環境ホルモン)の影響を細胞レベルで検出・解析し、評価することが可能となる。

 琵琶湖は世界でも有数の古代湖であり、17種の固有魚が生息しているが、その内9種が絶滅危惧種に指定されている。特に代表的固有魚であるホンモロコは、1990年代から個体数減少に歯止めがかかっていない。急激な減少は、環境ホルモンなどを含む環境化学物質による水質汚染が1つの要因として考えられているが、固有魚種における環境ホルモン等の生物学的な影響については明らかになっていない。

 本研究では、環境ホルモンが琵琶湖固魚種の生殖巣に与える影響を調べるため、ホンモロコの精巣から、精子分化過程において重要な働きをする細胞の細胞株を樹立した。本細胞株は、魚の精巣内細胞のホルモン応答性を忠実に反映していることも検証できている。河川水、排水等を本細胞株の培養液に添加し、水に含まれる環境化学物質が細胞株において環境ホルモン作用を有する場合、細胞株がセンサーとして発光する仕組みとなっており、発光量を比較することで、どの種類の環境化学物質がホンモロコの生殖機能に環境ホルモン作用を及ぼすのかを容易にスクリーニングすることができるようになった。

 今後は、実証研究として本細胞株の培養液に、琵琶湖に流入する河川の水や排水を添加し、ホンモロコの生殖巣にどの環境化学物質が影響しているのかを検証し、対策につなげていくことを目標としている。

▼本件に関わるお問い合わせ先
 立命館大学リサーチオフィスBKC
 TEL: 077-561-2802
 立命館大学広報課
 TEL: 075-813-8300

4555 ホンモロコの精巣から樹立した細胞株の顕微鏡写真

4554 琵琶湖のホンモロコ(提供:草津ホンモロコ生産組合)