龍谷大学

龍谷大学が12月4~7日、文学部の学生が主体で実施する博物館実習・展示会十二月展「今と昔の赤い糸-婚姻の歴史と文化をたどる」を開催

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龍谷大学文学部の学生らは12月4日(水)~12月7日(土)まで、「今と昔の赤い糸-婚姻の歴史と文化をたどる」をテーマに、博物館実習・展示会(十二月展)を、同大大宮学舎にて開催する。博物館実習とは、博物館学芸員資格取得のための授業で、なかでも十二月展は、学習成果の集大成となる実習展示会。学生が開催テーマを決定し、展示品となる史資料の調査や収集等、博物館学芸員課程で修得した知識や技術を活かして企画・運営の一切を担うもので、今年で34回目を迎える。

 近年、晩婚や非婚、事実婚や同性婚など社会における結婚観が多様化しており、「婚姻」とはどのようなものであるかを、過去に遡って捉えなおしたいという想いから、テーマを設定し準備を進めてきた。
 今回の展示では、「婚姻」の歴史と文化について三つの章に分けて、各時代の婚姻の形態の変化を紹介する。来場者に「婚姻」という文化の変遷を文献資料や実物資料を通して伝えるとともに、今日の「婚姻」について考える機会にしてもらうことを目指す。

展覧会名 : 2013年度 龍谷大学文学部博物館実習十二月展「今と昔の赤い糸-婚姻の歴史と文化をたどる」
開催期間 : 2013年12月4日(水)~12月7日(土) 〔4日間〕
観覧時間 : 午前9時30分~午後4時30分 (最終日は午後4時受付終了)  入館料無料
会  場 : 龍谷大学大宮学舎 本館展観室(重要文化財)
      (京都市下京区七条通大宮東入る大工町125-1)

[十二月展 代表的展示品(予定)]
 埴輪弾琴像(天理市教育委員会)、奈良絵本などの写字台文庫蔵本(龍谷大学大宮図書館)、
 狐の嫁入り図屏風(個人蔵)、豊公娶婦図(豊国神社)、婚礼調度品(藤井有鄰館)等

◆2013年度龍谷大学文学部博物館実習
十二月展「今と昔の赤い糸-婚姻の歴史と文化をたどる」展示概要

1.概要
(1) 十二月展について
 文学部博物館学芸員課程の授業の一環として、毎年12月に実施している企画展です。この「十二月展」は、同課程で得た知識や技術を活かして、企画・運営、展示物の管理を学生たちが主体となって実施しており、今年で34回目を迎えます。
<参考> 過去三年間の開催テーマ
 2012年度 「祭を訪ねて京都一周~未来を変える祈りのカタチ~」
 2011年度 「年中無休でお供します!- 営みの中の時と暦 -」
 2010年度 「いきものがたり~人と動物との暮らし~」

(2) 2013年度の展示について
 2013年度は、「今と昔の赤い糸-婚姻の歴史と文化をたどる」というテーマで開催します。
現代の日本では、個人の価値観が尊重され、結婚に対する考え方も昔とは異なる多様な意志が反映されるようになりました。近代以前のように結婚が身分や家名によって制限されるのではなく、法律によって個人の婚姻の自由が保障されるようになりました。自分たちのライフスタイルにあった婚姻のかたちを考え、相手を自由に選択する事ができます。同時にあえて婚姻届を出さない「事実婚」や、ある程度年齢を重ねて互いに経済的な余裕を持って結婚する「晩婚」、結婚や同居生活などを選ばない「非婚」、性別にとらわれない「同性婚」など、婚姻に対する考え方も世の中の動きに合わせて多様化しています。
 本展示では、日本における婚姻の形態の移り変わりを、各時代の社会や文化に焦点をあてて紹介します。各時代の「婚姻」の特徴を紹介するとともに、展示品を通して人々にとって結婚とはどのようなものであったかをお伝えしたいと思います。

2.展示内容
 今回の展示では、「昔々の婚姻」「今に繋がる婚姻」「現代の婚姻」の三つの章にわたって、各時代の婚姻形態の変化を表現します。
(1) 第一章「昔々の婚姻」
 第一章では、「昔々の婚姻」として古代から平安時代の婚姻形態を二節に分けてあつかいます。
 第一節「神代から人へ」では、神の婚姻から始まり人の婚姻を取り扱うことによって古代の婚姻形態を紹介します。展示資料として、『古事記』『日本書紀』『万葉集』(いずれも龍谷大学大宮図書館所蔵)をあつかい、考古資料も併せて当時の婚姻形態を伺います。

 第二節「平安貴族の露顕」では、平安時代の貴族の婚姻を紹介します。今日の婚姻儀礼の原初が平安時代後期の婿取婚によって形作られたと考えられていることから、婿取婚を主に取り扱います。
 なかでも注目していただきたいのが、婿取婚の婚礼儀式の方法がわかる有職故実書『江家次第』(龍谷大学大宮図書館所蔵)です。『江家次第』は、平安時代後期に成立し、当時の朝廷での儀式や公事の次第が詳細に記されています。

(2) 第二章「今に繋がる婚姻」
 第二章では、「今に繋がる婚姻」として平安時代末期から江戸、明治、大正、昭和と長い時代を取り扱います。章題にもなっているように、中世に成立した婚姻の形が今日の婚姻形態まで引き継がれていることを意識しながら展示をします。

 第一節「物語と現実の対比」では、平安時代末期から室町時代にかけての婚姻形態を追っていきます。
 その中でも見ていただきたいのは、九条兼実の日記『玉葉』(龍谷大学大宮図書館所蔵)です。展示では、兼実の息子・良経と源頼朝と姪の婚姻に関する部分を紹介します。
 
 第二節「武士から庶民へ」では、江戸時代以降を取り上げます。前時代では武士階層に広まっていた婚姻形態(嫁取婚)が庶民へ普及し始めます。
 注目すべきは、化物の世界の婚礼を描いた『化物婚礼絵巻』(国際日本文化研究センター所蔵)です。人間世界の婚礼をそのままなぞった化物の婚礼が描かれています。人間の婚礼を化物の姿を通して描くことで、当時の婚礼の様子を固くなりすぎず、よりリアルで、かつ見ていて飽きない絵巻物になっています。

 第三節では、明治時代以降の婚姻について触れます。明治時代では、江戸時代の婚姻形態を受け継ぎつつ、宗教の自由が認められるので神前式結婚や仏前式結婚、キリスト教式結婚、社会制度ではない「契約結婚」など、婚礼儀式が多様化します。
 主な見所として挙げたいのは、後の大正天皇となる嘉仁親王が結婚した際個人の祝言を集めて巻物にして、親王へ贈られた『婚姻奉祝』(藤井有鄰館所蔵)です。嘉仁親王の結婚式は、神前式結婚のはじまりで、それが契機となり庶民へ神前式結婚式が広まります。

(3) 第三章「現代の婚姻」
 第三章「現代の婚姻」では、現代日本社会に焦点をあて、婚姻制度と婚姻に関する諸問題(晩婚化、非婚化、事実婚、同性婚など)をパネルと文章で紹介します。
 特に注目していただきたいのは、本学で行った学生の結婚観に関するアンケート調査の結果です。一般に実施されている調査機関のデータ等との比較をおこなうことで、婚姻について考えるきっかけになると考えています。

▼本件に関する問い合わせ先
 龍谷大学文学部教務課 柴田・田中
 TEL: 075-343-3317

4873 2013年度十二月展ポスターイメージ

4874 古事記(龍谷大学大宮図書館所蔵)

4875 江家次第(龍谷大学大宮図書館所蔵)

4876 玉葉(龍谷大学大宮図書館所蔵)

4877 化物婚礼絵巻<複製>(国際日本文化研究センター所蔵)

4878 婚姻奉祝(藤井有鄰館所蔵)