工学院大学

工学院大学が、PM2.5の成分を1粒子単位で分析可能な新型顕微鏡を世界で初めて開発――大気汚染対策に有効な「微小粒子成分の可視化」を実現

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工学院大学(東京都新宿区)工学部電気システム工学科の坂本哲夫教授の研究グループはこのたび、先端的な分析装置の開発研究の成果(JST先端計測分析技術・機器開発プログラム、東京工業大学・藤井正明教授との共同研究)を応用し、ナノメートル(100万分の1ミリ)の微小粒子の成分を分析する新型顕微鏡の開発に成功。これにより、PM2.5一つ一つの粒子の成分可視化が、世界で初めて可能となった。今後は越境汚染による健康影響や地球温暖化などにおいて、より効果的な対策の展開に寄与することが期待される。

 現在、PM2.5に関しては大気環境中の濃度を測定する方法(質量濃度測定方法)は確立されているものの、汚染物質や発生源を特定することは困難であり、高精度に把握できる分析方法が求められていた。

 今回開発された新型顕微鏡が実現した明確な画像によって、これまで困難であったPM2.5や黄砂の、成分や内部構造などの実態の解明が可能になり、発生源の特定ができるようになった。ナノレベルのイオンビームの制御がこの画期的な開発につながった。今後、越境汚染による健康影響や地球温暖化などにおいて、より効果的な対策の展開に寄与することが期待される。

◆新たに発表した顕微鏡について
【名 称】高分解能FIB-TOF-SIMS/SNMS質量顕微鏡
【分解能】40nm(成分分析が可能な顕微鏡として世界最高値)
【開発期間】基本開発2004年~2010年、応用開発2011年~現在
【技術内容】
 1.ナノスケールイオンビーム集束技術(FIB)
 2.質量分析技術
 3.粒子の微細加工技術
【応用分野】
 1.PM2.5をはじめとする大気微粒子の分析
 2.リチウムイオン電池材料の高精度分析
 3.有機EL、太陽電池材料の高精度分析

【参考情報】
●FIB(Focused Ion Beam)
 数nm~数百nm径に集束したイオンビームのことで、電子顕微鏡のように画像が見えるだけではなく、小さな物体を断面加工したり、表面を削り取ったりすることができる。新型顕微鏡はこの機能を活かして、粒子の成分を少しずつ削りながら画像化する。

※写真・画像データの使用の際には、<工学院大学 坂本哲夫教授>と明記をお願いします。

▼本件に関する問い合わせ先
 学校法人 工学院大学 総合企画部広報課 担当:佐野・関根・山口
 TEL: 03-3340-1498
 FAX: 03-3340-1648
 E-mail: gakuen_koho@sc.kogakuin.ac.jp

5107 新型顕微鏡が実現した明確な画像

5108 顕微鏡装置本体

5109 装置内部の様子