玉川大学

玉川大学とMCPCがICT人材育成で連携を推進――学生が実学のモバイルシステム技術を習得し、就職活動などを有利に展開

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モバイルコンピューティング推進コンソーシアム(MCPC: 会長 安田靖彦)は、ICT中核技術であるモバイルシステム技術の普及を目的とし、玉川大学工学部(担当指導員 山崎浩一 教授)との連携を推進する。近年、急激に変化するモバイルシステム分野(M2M、IoT、ウェアラブル端末含め)では、多数の技術者が求められており、本取り組みは、このニーズに応えるべく、モバイルシステムの実践的技術を習得した人材(学生)の育成を目指すものである。
玉川大学では卒業後の学生が就職先で即戦力として活躍し、その仕事ぶりが評価され、大学の魅力度も一層向上。入学志願者への大きな動機付けにもなりつつある。大学ではこのような実践的な教育を積極的に推進していく計画である。
玉川大学とMCPCは、今後更なる連携を進め、MCPCからの講師派遣のみならず、プログラミングコンテストの共同実施、MCPC会員企業へのインターンシップなどで協力を推進していく計画である。

1.連携の経緯

 玉川大学工学部ソフトウェアサイエンス学科は、高度情報化社会を支えるモバイルシステムのカリキュラムを、情報処理と通信技術を融合した領域として、基礎から応用技術まで広範囲に提供しているのが特徴となっている。

 同学科では、2008年より、MCPCと協力してモバイルシステム技術講座を開設している。同講座は、最新のモバイル通信技術を始め,M2M、IoT、セキュリティやモバイルの利活用事例など、学術的研究テーマから現場(市場)での実務知識に至るまでの、モバイルシステム技術を総合的に学ぶことにしている。
 また、同学科では、モバイル分野の基本技術を重要知識として位置付け、一定レベル以上の技術知識を習得するよう学生を指導している。
 具体的には、技術講座履修後、MCPCが運営しているモバイルシステム技術検定制度の「モバイル技術基礎」を受験し、これに合格することを3年生から4年生への進級条件とする制度を設け実施している。この条件を満たすため、学生には3年生後期の1月までに基礎検定に合格することが義務付けられている(注1)。

 さらに2010年度には、基礎レベル(モバイル技術基礎検定)に加えて、上位のレベル(モバイルシステム技術検定2級)を対象とする講座を設置した。学生には「モバイルシステム技術検定2級」の資格取得に挑戦することも推奨し、学生の上位レベルへのステップアップに対応する取り組みもスタートさせた。特にモバイル関連分野への就職を希望する学生には、「検定2級資格の取得」が就職活動の極めて大きな優位点になるとして、同検定への挑戦の動機づけを本格化させている。
 これには、MCPC検定の内容が評価され、大手通信事業者をはじめ通信機器メーカ、ITシステム販売会社およびシステムインテグレータ(SIer)など、多くの企業が「取得推奨資格」として位置付けていることの背景がある。特に新人から入社5年目の若手社員に対し、この資格の取得を義務付けている企業もあり、学生が既にこの2級レベルの技術知識を身につけていれば、就職活動にも大きなアドバンテージが期待できる根拠にもなっている。

 玉川大学では既に累計で、基礎検定合格者は195名、2級検定合格者は26名と着実に成果を上げており、これらの資格を受検している学校関係の合格者数ではNo1の実績を誇っている(数字は2014年7月現在)。 これに呼応して、モバイル関連の企業への就職も着実に成果が挙がっている。

<MCPCの協力について>
◆モバイルシステム技術講座への講師派遣
 MCPCが玉川大学に派遣している講師は、MCPC会員企業の通信事業者、通信機器メーカ、システムインテグレータ(SIer)等の高度技術者である。
 講座の指導を担当しているのは、いずれも第一線で活躍している高度なモバイルシステム技術者で、最新のテクノロジーをはじめシステムソリューション、モバイルシステムの構築などで、豊富な経験とノウハウを有している。MCPCには、現在10名の講師が登録されている。

◆公式テキストの提供

 MCPCのモバイルシステム技術検定制度に対応した教材として、上記講師陣が中心となって監修・執筆した公式テキスト(市販本)がある。
 このテキストは、モバイル基礎編、モバイルシステム技術編、モバイルシステム技術・エキスパート編の3レベルに分けて出版されている。技術者のレベルに応じて使用できるもので、図解と判りやすい文章による解説などが好評を得ている。玉川大学では、「基礎編」または「システム技術編」のテキストを、学生の教材として利用している。

2.モバイルシステム技術検定の制度と企業評価

 MCPCのモバイルシステム技術検定制度()は、2005年から運用が開始された制度で、IT、ICT業界から高く評価され今日に至っている。同検定制度の各資格は、移動体通信事業者やメーカ、ソフトウェアベンダーをはじめ、多数の大手・中堅企業で取得推奨資格として認定されている。既に52,000人以上の受検実績があり(2014年7月現在)、「ICT業界の標準資格」として位置付けられている。

 こうしたわが国のICT人材育成への多大な貢献が認められ、2007年、情報化促進部門で総務大臣表彰が授与されている。
 またMCPCでは、2010年3月、IEEE (米国電気電子学会)と両者の検定試験制度、内容などを評価し相互に推奨することで協調をするなど、グローバルな資格制度の推進へと進展させている。

)モバイルシステム技術体系図(別紙)を参照のこと。

3.今後の連係強化について

 MCPCは、モバイルシステム技術者の人材育成に、今後とも継続的に取り組んでいく方針である。
 具体的には、大学や専門学校を中心に、指導講師の派遣、教材の提供、モバイル関連企業と連携したコンテストやMCPC会員企業のインターンシップの受け入れ協力など、学生が魅力を感じる教育内容の充実を図っていく計画である。このためMCPCでは、今年4月より内部に講師育成制度の設立プロジェクトを立ち上げ、教育機関への対応体制を強化した。

注1.同学科では、モバイルシステムをはじめとする4つの専門領域の技術者の育成に取り組んでおり、指定した各分野の資格から一つ以上取得することを進級条件に定めている。これまでの実績より、約半数の学生がMCPC実施のモバイルシステム技術の検定に合格している。なお、5年間の取組みにより、検定試験の受検は軌道に乗ったため、2013年度入学生より進級条件から外された。MCPCによるモバイルシステム技術講座は引き続き実施する。

▼ICT人材育成の連携に関する問い合わせ先
 玉川大学工学部ソフトウェアサイエンス学科
 学科主任 教授 山崎 浩一
 TEL: 080-7025-5188
 E-mail: yamazaki@eng.tamagawa.ac.jp
 http://www.tamagawa.jp/

▼取材に関する問い合わせ先
 学校法人 玉川学園
 キャンパス インフォメーション センター
 TEL: 042-739-8710 
 FAX: 042-739-8723
 E-mail: pr@tamagawa.ac.jp
 〒194-8610 東京都町田市玉川学園6-1-1

▼モバイルシステム技術検定制度に関する問い合わせ先
 MCPC 幹事長  畑口 昌洋
 E-mail: hatagutichi@mcpc-jp.org
 http://www.mcpc-jp.org/