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【京都産業大学】アフリカツメガエル卵母細胞の排卵および成熟過程の試験管内再構成に、世界で初めて成功 -- International Journal of Molecular Sciences誌に掲載

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京都産業大学生命科学部の佐藤 賢一教授とトクマコフ アレクサンデル研究助教らのグループは、アフリカツメガエルの雌成体内の卵巣において卵母細胞が成熟し、受精可能になる過程の一部(卵母細胞がホルモン依存的に卵巣から離脱し成熟する過程)を、試験管内で再構成する実験に世界で初めて成功した。

 両生類無尾目のアフリカツメガエル(学名:Xenopus laevis)は、脊椎動物のすぐれた発生研究モデルの1つとして、さまざまな知見を提供している。今回の研究において、アフリカツメガエル雌成体の卵巣内にある未成熟卵母細胞が受精および発生開始可能な状態に移行するために必要なホルモン依存性の2つの過程、排卵と成熟を試験管内で再構成することに世界で初めて成功した。また、この試験管内再構成実験系を用いて、タンパク質リン酸化酵素MAPK(マップキナーゼ)が排卵と成熟の両方、マトリクスメタロプロテイナーゼMMPが排卵、それぞれにおいて重要な役割をもつことを、特異的阻害剤を用いた実験等から明らかにした。

 以上の研究成果により、アフリカツメガエルやヒトを含む他の脊椎動物の卵母細胞がもつ生物学的機能を、よりよく理解することに貢献することが期待される。

 この研究成果は、2019年9月26日に学術誌『International Journal of Molecular Sciences』に掲載された。

むすんで、うみだす。  上賀茂・神山 京都産業大学

関連リンク
・アフリカツメガエル卵母細胞の排卵と成熟過程の試験官内での再構成に、世界で初めて成功
 https://www.kyoto-su.ac.jp/news/20191003_345_release_tu01.html

・アフリカツメガエル未受精卵がより短時間で起こす細胞死に伴う細胞内タンパク質およびATPの動態を解明
 https://www.kyoto-su.ac.jp/news/20190702_345_release_ka01.html

▼本件に関する問い合わせ先

京都産業大学 広報部

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: 〒603-8555 京都市北区上賀茂本山

TEL

: 075-705-1411

FAX

: 075-705-1987

E-mail

kouhou-bu@star.kyoto-su.ac.jp

図1.png 図1.卵母細胞のプロゲステロン依存的な臚胞細胞層からの離脱および成熟反応過程の試験管内再構成。(A)5mg/mLコラゲナーゼで30分間処理した臚胞細胞層付き卵母細胞をプロゲステロンでさらに処理すると、臚胞細胞層からの離脱および成熟反応過程を効率よく誘導できる。(B)5mg/mLコラゲナーゼで30分間(青)または2時間(赤)処理した臚胞細胞層付き卵母細胞のプロゲステロン非存在下での臚胞細胞層からの離脱。(C)5mg/mLコラゲナーゼで30分間~2時間処理した臚胞細胞層付き卵母細胞のプロゲステロン

図2.png 図2.試験管内における排卵・成熟モデルの検証。(A)試験管内における排卵・成熟モデルの模式図:WS+(ホワイトスポットの有無)、FL+(臚胞細胞層の有無)。(B)5mg/mLまたは(C)50µg/mLコラゲナーゼ処理(30分間)を受けた臚胞細胞層付き卵母細胞のプロゲステロン非存在下での臚胞細胞層からの離脱および成熟。(D)BおよびCにおける中間体(WS+FL+ および WS-FL-)の出現頻度の比較(有意差なし)。

図3.png 図3.MMP阻害剤GM6001は臚胞細胞層からの離脱を阻害する。(A)コントロール実験、(B)GM6001添加実験、(C)AおよびBにおける中間体の出現頻度(有意差あり)。

図4.png 図4.MAPK経路阻害剤U0126は臚胞細胞層からの離脱と成熟を阻害する。(A)MAPKリン酸化に対するU0126の効果。(B)卵核胞崩壊(GVBD)および(C)臚胞細胞層からの離脱に対するU0126の効果。