日本女子大学

【日本女子大学】日本最大級の避難所・茨城県神栖市「かみす防災アリーナ」での大学・自治体・住民との協働 -- 住民が自ら避難所を運営する仕組みをつくる

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日本女子大学(東京都文京区)家政学部住居学科の平田京子教授は、かみす防災アリーナ(茨城県神栖市)について運営面のアドバイスをした経緯から、大規模避難所の運営方法の改善と、地震発生前から支援者との連携ができるよう、施設管理者・施工者と連携して研究活動を行っている。3年次授業「建築と社会」では、学生らがかみす防災アリーナの開設や運営方法、住民同士の助け合いの仕組みなどについて提案。住民との連携も進めており(現在はコロナ禍で中断)、市職員が支援者とつながれるよう、産学連携をしながら働きかけを行っている。

 茨城県神栖(かみす)市に2019年にオープンした「かみす防災アリーナ」は、日本でも最大級の避難所であり、最新の防災設備を備えた先端的避難所となるべく設計時点から計画され、津波避難で1万人、中長期避難で2,000人が想定されてきた(新型コロナウイルス対策考慮前の数字)。現在、災害時に立ち上がるさまざまな避難所では、多数の住民が助け合って生活再建をめざす住民の主体的運営ができるかが鍵となっている。大規模な避難所ほど多数の住民がかかわり、運営がむずかしい。

 当該施設では災害発生後に、住民が自ら避難所の運営に参画するための仕組みが、設計時から避難所に設置された特注家具などの活用を通して計画されている。また大規模避難所では防災面での経験・知識をもつ支援者(NPO等)と連携しながら住民主体型運営を徐々に実現していくことの大切さが、過去の地震の教訓として得られている。

 日本女子大学家政学部住居学科の平田京子教授は、かみす防災アリーナについて運営面からアドバイスした経緯により、大規模避難所の運営方法の改善と、地震発生前からの支援者との連携ができるよう施設管理者・施工者と連携して研究活動をしている。

【学生参画型の授業で提案】
 3年次の授業「建築と社会」では、住居学科で建築・生活を学ぶ学生がこの避難所の開設や運営方法、日常から非常時に展開する住民同士の助け合いの仕組みをグループワークで提案している。

 昨年12月に、ZOOMにより開催された授業では、かみす防災アリーナ内に設置された特注家具の活用方策を、学生がグループに分かれプレゼンテーションした。学生たちは、家具の配置のみではなく、家具を使用した中高生向けの防災ピクニックや、高齢者向けには非常食試食会やエクササイズなどのワークショップ開催を提案。住民が家具を日常的に使用することにより、災害時でも有効活用できるように趣向を凝らしたアイデアを発表した。提案には施設設計者や神栖市の住民がアドバイスし、実行可能な提案を共有できるよう、社会連携型の授業を行っている。

 また、住民との連携も開始しており(現在はコロナで中断)、教員が住民向け講演会や、ワークショップで住民の共助活動の進展をはかっている。また神栖市職員がNPO等の支援者と普段からつながれるよう、産学連携しながら働きかけを行っている。

【活動の背景】
 日本女子大学が位置する文京区では住民リーダー育成のため、防災士の資格取得を助成している。防災士である住民リーダーが避難所を主体的に運営していくための実践的な知識を学ぶための「文京避難所大学」を大学と区で連携しながら開設。2020年1月までに2回実施し、住民リーダーに好評を得ている。
 この神栖市版である「神栖避難所大学」を行うべく、上記の活動の中で検討を重ねている(現在はコロナで中断)。

【平田京子教授のコメント】
 本活動の特色について、災害発生後に避難所となった大学が関与する例は、東日本大震災での筑波大学学生の活動や、2016年熊本地震に熊本大学・熊本学園大学などでの学生の活躍が見られる。これを首都直下地震に備えて、首都圏の大学でも考える機会としてもらえることが望ましい。
 かみす防災アリーナや周辺地域では、今後の展開として、神栖市内の地域コミュニティ協議会の一つと連携し、神栖市避難所大学をプログラム開発予定である。

▼本件に関する問い合わせ先

学校法人日本女子大学 入学・広報部広報課

TEL

: 03-5981-3163

IMG_3695.JPG 津波避難の防災紙芝居を4年生(当時)が読み聞かせしている様子