摂南大学

農業生産学科 石川幸男教授が今年度の「日本農学賞・読売農学賞」を受賞 -- 摂南大学

大学ニュース  /  先端研究

  • ★Facebook
  • ★Twitter
  • ★Google+
  • ★Hatena::Bookmark

摂南大学(大阪府寝屋川市)農業生産学科 石川幸男教授がこれまで長年にわたって行った3つの研究成果をまとめた「害虫防除に向けたガ類の性フェロモンにおける分子基盤研究と新規生殖操作・配偶行動の発見」が2021年度日本農学賞・読売農学賞を受賞しました。日本農学賞は、日本の農学研究者間における最高の栄誉とされています。

【本件のポイント】
日本の農学研究者間における最高の栄誉である日本農学賞を受賞。
ガ類の性フェロモンに関する20年以上にわたる研究の成果などが認められた。
ガ類の生殖を操作する共生細菌の仕業を遺伝子レベルで解明するとともに、繁殖行動における超音波の機能を明らかにし、その特性を応用した防除への道を開いた。

 近年、化学農薬への過度の依存を減らすためにも、昆虫の能力や機能をうまく利用した害虫防除法の開発が求められています。石川教授は農作物の収量を著しく減損させる「害虫」を対象に、昆虫が持つ不思議な能力を分子レベルで解明し、新しい害虫管理技術へ応用する研究をしています。

 今回、長年の研究から3つの成果をまとめた「害虫防除に向けたガ類の性フェロモンにおける分子基盤研究と新規生殖操作・配偶行動の発見」が2021年度日本農学賞・読売農学賞を受賞し、4月6日東京大の弥生講堂で表彰式と受賞講演が行われ、その様子がオンラインでも配信されました。

 1つめのテーマである「ガ類の性フェロモン交信システムを支える分子生物学的基盤に関する研究」では、ガ類の中でも日本に生息する全てのアワノメイガ類の性フェロモンを10年以上かけて解明し、更に種ごとに異なる性フェロモンが生合成される仕組みを明らかにしました。

 2つ目の「宿主の性決定機構を操作する共生細菌ボルバキアの発見」では、少数のメス成虫の子が100%メスになることを発見し、この全メス化は共生細菌ボルバキアによって引き起こされていることを明らかにしました。また、ボルバキアを抗生物質で除去すると、今度は子が100%オス化する不思議な現象も発見しました。

 3つ目の「雄雌間超音波交信の発見」では、アワノメイガのオスはメスを見つける際に、メスの性フェロモンに引き寄せられますが、オスはその後の求愛過程で超音波を発することが分かりました。研究の結果、ガは天敵であるコウモリの超音波を聞くと動けなくなることが分かっていますが、なんとメスはオスの超音波とコウモリの超音波を聞き分けることができず、メスが動けなくなることによってオスは交尾に成功しているという事が分かりました。

 この超音波に対するガの反応を害虫防除に応用し、イチゴ栽培の施設内に超音波発生装置を置くことで、ガの侵入をほぼ完全に阻止できるといったガの被害の抑止に顕著な効果があることも示しています。

▼本件に関する問い合わせ先

学校法人常翔学園 広報室

坂上・上田

住所

: 大阪府寝屋川市池田中町17-8

TEL

: 072-800-5371

2.png 4月6日東京大弥生講堂で行われた授賞式。石川教授(左)と日本農学会の西澤直子会長

3_1.png 受賞講演を行う石川教授