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十文字学園女子大学食品開発学科助手 後田ちひろ、および京都府立医科大学大学院医学研究科医療フロンティア展開学（消化器内科学併任）准教授 高木智久、生体免疫栄養学講座 教授 内藤裕二らの研究グループは、アレルギーモデルマウスを用いてリコピン摂取によるアレルギー症状抑制メカニズムを解明しました。本件に関する研究論文が、科学雑誌『Pediatric Allergy and Immunology』に11月16日付けで掲載されましたのでお知らせします。
【論文概要】
1．研究分野の背景や問題点
食物アレルギーは小児患者が多い疾患であり、予防と治療には安全性が求められています。免疫細胞の1つである制御性T細胞（regulatory T cell: Treg細胞）は、食物アレルギーを減弱することが報告されており、ビタミンAの代謝産物であるレチノイン酸がTreg細胞の分化を促進させることも報告されています。しかしながら、野菜や果物に含まれる色素であるカロテノイドについては、Treg細胞に対する作用は明らかにされていません。
2．研究内容・成果の要点
マウスにリコピン、β-カロテン、アスタキサンチン、またはルテインを含む食餌を4週間与え、大腸粘膜内のTreg細胞を評価しました。その結果、リコピンのみがTreg細胞数を有意に増加させました。また、マウス脾臓より単離したナイーブCD4 + T細胞にリコピンを添加したところ、Treg細胞への分化を促進しました。
そこで、食物アレルギーモデルマウスを作成し、リコピン摂餌による影響を調べたところ、大腸粘膜内のTreg細胞の数が有意に増加し、アレルギー症状が軽減されました。食物アレルギー発症時に増加するサイトカインであるIL4、IL-9、およびIL-13 の大腸粘膜内の発現を調べたところ、リコピン摂取によって有意に減少しました。 特に、IL-9は食物アレルギー発症に重要な役割を担う肥満細胞の増殖を誘導することが知られていますが、リコピン食餌により大腸粘膜の肥満細胞数が有意に減少していることも明らかにしました。
1．研究分野の背景や問題点
食物アレルギーは小児患者が多い疾患であり、予防と治療には安全性が求められています。免疫細胞の1つである制御性T細胞（regulatory T cell: Treg細胞）は、食物アレルギーを減弱することが報告されており、ビタミンAの代謝産物であるレチノイン酸がTreg細胞の分化を促進させることも報告されています。しかしながら、野菜や果物に含まれる色素であるカロテノイドについては、Treg細胞に対する作用は明らかにされていません。
2．研究内容・成果の要点
マウスにリコピン、β-カロテン、アスタキサンチン、またはルテインを含む食餌を4週間与え、大腸粘膜内のTreg細胞を評価しました。その結果、リコピンのみがTreg細胞数を有意に増加させました。また、マウス脾臓より単離したナイーブCD4 + T細胞にリコピンを添加したところ、Treg細胞への分化を促進しました。
そこで、食物アレルギーモデルマウスを作成し、リコピン摂餌による影響を調べたところ、大腸粘膜内のTreg細胞の数が有意に増加し、アレルギー症状が軽減されました。食物アレルギー発症時に増加するサイトカインであるIL4、IL-9、およびIL-13 の大腸粘膜内の発現を調べたところ、リコピン摂取によって有意に減少しました。 特に、IL-9は食物アレルギー発症に重要な役割を担う肥満細胞の増殖を誘導することが知られていますが、リコピン食餌により大腸粘膜の肥満細胞数が有意に減少していることも明らかにしました。
3．今後の展開と社会へのアピールポイント
市場に出回っている多くの一般的な食品に存在する、リコピンが制御性T細胞分化を誘導し、食物アレルギー症状を抑制する可能性があることが示されました。制御性T細胞はアレルギー疾患のみならず、多くの自己免疫疾患に関与することが知られているため、本知見はリコピンを用いたアレルギー疾患予防・治療だけでなく、その他の多くの自己免疫疾患に対する治療戦略構築に対して有用な情報となることが期待されます。
市場に出回っている多くの一般的な食品に存在する、リコピンが制御性T細胞分化を誘導し、食物アレルギー症状を抑制する可能性があることが示されました。制御性T細胞はアレルギー疾患のみならず、多くの自己免疫疾患に関与することが知られているため、本知見はリコピンを用いたアレルギー疾患予防・治療だけでなく、その他の多くの自己免疫疾患に対する治療戦略構築に対して有用な情報となることが期待されます。
本研究は日本学術振興会（科研費16675576、20K08292）、笹川科学研究助成および農林水産技術会議委託プロジェクト研究「健康寿命延伸に向けた食品・食生活実現プロジェクト」の研究助成によって行われました。
【論文基礎情報】
○掲載誌情報
○掲載誌情報
・雑誌名： Pediatric Allergy and Immunology
・発表媒体： ペーパー発行
・雑誌の発行元国： アメリカ合衆国
・オンライン閲覧： https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/pai.13691
・掲載日： 2021年11月16日
・発表媒体： ペーパー発行
・雑誌の発行元国： アメリカ合衆国
・オンライン閲覧： https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/pai.13691
・掲載日： 2021年11月16日
○論文情報
・論文タイトル：Lycopene intake induces colonic regulatory T cells in mice and suppresses food allergy symptoms（リコピンの摂取によりマウス大腸に制御性T細胞を誘導し、食物アレルギーの症状を抑制する）
・著者：
十文字学園女子大学人間生活学部食品開発学科 後田ちひろ
京都府立医科大学大学院医学研究科医療フロンティア展開学（消化器内科学併任） 高木智久
カゴメ株式会社イノベーション本部 自然健康研究部 福家暢夫
京都府立医科大学生体免疫栄養学講座 水島かつら
京都府立医科大学生体免疫栄養学講座 平井泰子
石川県立大学生物資源環境学部食品生化学研究室 東村泰希
京都府立医科大学大学院医学研究科消化器内科学 春里暁人
京都府立医科大学大学院医学研究科消化器内科学 鎌田一弘
京都府立医科大学大学院医学研究科消化器内科学 内山和彦
京都府立医科大学大学院医学研究科消化器内科学 石川剛
カゴメ株式会社イノベーション本部 自然健康研究部 相澤宏一
カゴメ株式会社イノベーション本部 自然健康研究部 菅沼大行
京都府立医科大学大学院医学研究科消化器内科学 伊藤義人
京都府立医科大学生体免疫栄養学講座 内藤裕二
・著者：
十文字学園女子大学人間生活学部食品開発学科 後田ちひろ
京都府立医科大学大学院医学研究科医療フロンティア展開学（消化器内科学併任） 高木智久
カゴメ株式会社イノベーション本部 自然健康研究部 福家暢夫
京都府立医科大学生体免疫栄養学講座 水島かつら
京都府立医科大学生体免疫栄養学講座 平井泰子
石川県立大学生物資源環境学部食品生化学研究室 東村泰希
京都府立医科大学大学院医学研究科消化器内科学 春里暁人
京都府立医科大学大学院医学研究科消化器内科学 鎌田一弘
京都府立医科大学大学院医学研究科消化器内科学 内山和彦
京都府立医科大学大学院医学研究科消化器内科学 石川剛
カゴメ株式会社イノベーション本部 自然健康研究部 相澤宏一
カゴメ株式会社イノベーション本部 自然健康研究部 菅沼大行
京都府立医科大学大学院医学研究科消化器内科学 伊藤義人
京都府立医科大学生体免疫栄養学講座 内藤裕二
▼本件に関する問い合わせ先
＜研究に関すること＞
十文字学園女子大学 人間生活学部食品開発学科 後田ちひろ
TEL: 048-477-0555
E-mail: ushiroda@jumonji-u.ac.jp
京都府立医科大学大学院医学研究科 消化器内科学 高木 智久
TEL: 075-251-5508
E-mail: takatomo@koto.kpu-m.ac.jp
十文字学園女子大学 人間生活学部食品開発学科 後田ちひろ
TEL: 048-477-0555
E-mail: ushiroda@jumonji-u.ac.jp
京都府立医科大学大学院医学研究科 消化器内科学 高木 智久
TEL: 075-251-5508
E-mail: takatomo@koto.kpu-m.ac.jp
＜広報に関すること＞
十文字学園女子大学 広報課 野口・原
TEL: 048-477-0555
E-mail: kohoka@jumonji-u.ac.jp
京都府立医科大学 企画広報課 土屋
TEL: 075-251-5804
E-mail: kouhou@koto.kpu-m.ac.jp
十文字学園女子大学 広報課 野口・原
TEL: 048-477-0555
E-mail: kohoka@jumonji-u.ac.jp
京都府立医科大学 企画広報課 土屋
TEL: 075-251-5804
E-mail: kouhou@koto.kpu-m.ac.jp
図．リコピン摂取によるアレルギー症状抑制作用に関する概略
大学・学校情報 |
|---|
| 大学・学校名 十文字学園女子大学 |
|
| URL https://www.jumonji-u.ac.jp/ |
| 学長（学校長） 志村 二三夫 |
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