高知大学

【高知大学】透析低血圧の治療方法及び医療機器の開発に成功!長年のアンメット・メディカルニーズを解決

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(最終更新日:

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 国内の透析患者は約34万人で、一人当たり年間約150回の透析を行っています。腎臓は体内で産生された「老廃物と水分」を体外に出す働きをしており、これが障害されると生命を維持できないため血液透析を行います。血液透析では障害された腎臓の代わりに機器を用いて血液を体外に出して循環させることにより、1回に約1.8~3.0Lの水分を排出します。ところが、血管より急速に水分を排出するため血圧が下がりやすく、除水速度(排水速度)を減少させるか途中で中止せざるを得ない場合があります。次回は残した水分量を合わせたものを排水目標とするためさらに達成が困難となり、心不全を引き起こします。これを透析低血圧(透析困難症の原因のひとつ)といいます。血圧低下に対する処置も行いますが、その効果も不十分な場合が生じており、この医療課題は業界における長年のアンメット・メディカルニーズでした。

 本学医学部附属病院、有限会社ラプラス及び株式会社志成データムは、共同でこの医療課題を解決する治療方法と医療機器の開発に成功しました。開発した医療機器は、透析中に血圧が下がった場合に下半身を空気圧により圧迫し血圧を上昇させる装置で、適切な治療プロセスと協働させることでこの医療課題(透析困難症)を解決しています。

 既に高知県下の医療施設でこの医療機器を用いた臨床試験を行っており、透析除水(排水)率を90%から99%に高めるという極めて良好な臨床性能を得ることができました。今後は、医療機器ベンチャー企業のラプラスAPを立ち上げ、上市に向けての準備を進めて参ります。

 学会発表:(抄録別添)
 ・第87回日本循環器学会学術集会、2023/3/11、福岡
   Effects of Air Pants Device on Hemodialysis Hypotension
 ・第68回日本透析医学会学術集会・総会、2023/6/17、神戸
   透析低血圧に対する空圧パンツ血圧制御装置の有効性の評価



【お詫びと訂正】記載内容に一部、誤りがありました。1.(誤)「血液透析では障害された腎臓の代わりに機器を用いて血液を体外に出して循環させるため、1回に約1.8~3.0Lの水分を排出する必要があります。」(正)「血液透析では障害された腎臓の代わりに機器を用いて血液を体外に出して循環させることにより、1回に約1.8~3.0Lの水分を排出します。」、2.(誤)「これを透析低血圧(透析困難症)といいます。」(正)「これを透析低血圧(透析困難症の原因のひとつ)といいます。」お詫びして訂正いたします。(2023.09.12 15:05)

▼本件に関する問い合わせ先

高知大学医学部附属病院 検査部

山﨑文靖 特任教授

TEL

: 090-4509-1903

FAX

: 088-844-8033

E-mail

yamasaki-f@kochi-u.ac.jp