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世界初!6G時代の新しい価値を提供する「人間拡張基盤」に味覚を共有する技術を開発~ことばでは伝えられない味を人間拡張基盤で共有可能に~明治大学 宮下芳明研究室、NTTドコモ、H2Lの共同研究で

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明治大学 総合数理学部 宮下芳明研究室(以下、宮下芳明研究室)、株式会社NTTドコモ(以下、ドコモ)、H2L株式会社(以下、H2L)は、宮下芳明研究室とH2Lが研究開発した味覚を再現する技術※1とドコモが開発した「人間拡張基盤®※2」を連携し、相手の感じ方に合わせた味覚を共有する技術(以下、本技術)を開発しました。相手の感じ方に合わせた味覚を共有する基盤技術の開発は世界初※3となります。

本技術は、味覚に関するデータを把握する機器(センシングデバイス)、味覚の感度に対する個人差を推定し共有する「人間拡張基盤」と、味覚を再現する駆動機器(アクチュエーションデバイス)の3つで構成し実現するものです。

具体的には、伝えたい味をセンシングデバイスで分析・数値化したものと、共有する相手の味覚の感じ方を、約25項目のデータをもとに人間拡張基盤上で 独自アルゴリズムを用いて推定し、それらをアクチュエーションデバイスを通じて、相手に伝えたい味を再現します。アクチュエーションンデバイスは、味の基本となる五味(甘味、酸味、塩味、苦味、うま味)を味覚の標準液※4を用いて再現します。この3つの構成により、ことばではうまく伝えられない味を、人間拡張基盤を通して相手に共有することが可能となります。

たとえば、これまで視覚的・聴覚的な世界であったメタバース空間内のバーチャル体験や、映画やアニメのコンテンツでの活用が期待できます。作者が伝えたい味をコンテンツに付加することで、よりリッチなコンテンツ提供の実現と、ユーザーはこれまでに無い臨場感溢れる新しい体験が期待できます。

宮下芳明研究室、ドコモ、H2Lは、本技術の開発の成果を通じてさらに嗅覚の開発に取り組むとともに、新しいコミュニケーション文化の創造、新しい価値提供をめざし、人々が豊かに生活できる社会の実現に貢献してまいります。

なお本技術は、2024年1月17日(水)から開催する「docomo Open House'24」でご紹介します。

※1 宮下芳明研究室:本技術開発で活用した味覚再現するアクチュエーションデバイス「TTTV3」などの調味家電・調味食器の研究のほか、微弱な電流によって食体験の味覚を拡張する「電気味覚」の研究が2023年イグ・ノーベル賞を受賞。
宮下芳明研究室が過去に開発した味覚・嗅覚を再現する技術として、以下のような事例があります。


●飲食物の味と見た目を変える装置「TTTV2」を明治大学総合数理学部 宮下芳明教授が開発
 甲殻アレルギーでも安全に体験できるカニクリームコロッケ味を再現(2022年7月8日 明治大学プレスリリース)
 https://www.meiji.ac.jp/koho/press/mkmht0000001905p.html

●AIに味を推定させ、産地の違いも再現する調味装置「TTTV3」を明治大学 総合数理学部 宮下芳明研究室が発表
(2023年8月31日 明治大学プレスリリース)
 https://www.meiji.ac.jp/koho/press/2023/mkmht000000j96ss.html

※2 人の感じ方のデータを蓄積し、触覚・味覚などの五感の情報と連携し、他者へ共有するドコモの技術「FEEL TECH」を用いて利用します。

※3 ドコモ調べ。2023年12月21日時点

※4 味の感じ方や強さを標準化するための液体で、ここでは味を再現し、評価や比較を行う際に使用します。

1. 各者の役割

ドコモ:人間拡張基盤に相手の感じ方に合わせて味覚を共有・伝送するFEEL TECH技術の開発
明治大学 宮下芳明研究室:
独自開発した駆動機器(アクチュエーションデバイス「TTTV」)を用いて、味覚を再現する
H2L:味覚の個人差補正の調査研究

2. 技術の詳細
① 人間拡張基盤上センシングデバイスで伝えたい味を分析・数値化<伝えたい味覚をデータ化>
② 伝えたい相手の味覚に関する約25項目のデータをもとに、人間拡張基盤上で独自のアルゴリズムにより、味覚の感度を推定<相手の感度を推定しデータ化>
③ ①と②のデータから、伝えたい味を人間拡張基盤上で相手に合わせてマイニング<伝えたい味を相手に合わせデータ化>
④ アクチュエーションデバイスで、味覚であれば味の基本となる五味(甘味、酸味、塩見、苦み、うま味)を20種類の味覚標準液を用いて再現。<伝えたい味を再現>

3. 利用イメージ
6G時代、さらにモバイルネットワークは100Gbpsを超える高速通信、超低遅延、超多接続となります。本技術は6G時代のまったく新しいコミュニケーションとして、メタバース空間や、映画、アニメなどのコンテンツで活用することで、事業者はより魅力的なコンテンツ提供が可能となり、ユーザーは臨場感溢れるリッチな体験が可能となります。

<例1/メタバース>
バーチャルな体験の中で提供される仮想的な食べ物や飲み物について、これまでの視覚・聴覚に加えて、味覚も再現可能となります。例えば、バーチャルカフェで友だちと集まってケーキをシェアしたり、デジタル空間で料理を共有したりすることができます。6Gネットワークでいつでもどこでも、リアルタイムに体験することが期待できます。

<例2/映画・アニメ>
映画の中にしか存在しない体験が可能となります。例えば、未来の食事や古代の食事など、作者が思い描いた味覚を視聴者にそのまま伝えることができます。6Gネットワークでいつでもどこでも、リアルタイムに体験することが期待できます。


▼本件に関する問い合わせ先

経営企画部広報課

TEL

: 03-3296-4082

E-mail

koho@mics.meiji.ac.jp

味やにおいの共有イメージ.png 味やにおいの共有イメージ

宮下研デバイス.JPG 宮下芳明研究室による調味家電TTTV3(左)、ボトル装着型調味家電TTTVin(右)、試作中のスプーン・フォーク型調味食器(手前)