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千葉工業大学らのグループが開発した緊急災害対応ロボット「Quince(クインス)」が福島第一原子力発電所に向けて出発決定

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千葉工業大学らのグループが開発した緊急災害対応ロボット「Quince(クインス)」が、このたび東京電力の要請を受け、同大実験棟から福島に向けて出発することが決定した。福島第一原子力発電所内において、世界一の瓦礫走破性能を生かした調査活動を行う。

 このたび福島に向けて出発することが決定した「Quince(クインス)」は、千葉工業大学のほか、国際レスキューシステム研究機構、東北大学を中心とするグループが開発を行っている災害対応支援ロボットである。

 QuinceはLANで通信することで、遠隔操作や遠隔観察等を行うことができる。また、階段や瓦礫などを含む災害空間において高い走行性能を誇り、災害空間での活動や防塵防水、予期せぬ落下時でも機能を持続できる耐久性を持つ。
 さらに、物体や空間の3次元形状の計測や映像、音声情報のマッピング、複数台のQuinceからの情報の統合と記録が可能。あらゆる災害に必要な基本機能に加え、災害に応じてオプション機能を選択して搭載することができる。

 千葉工業大学「未来ロボット技術研究センター・fuRo()」では東日本大震災発生後より、国際レスキューシステム研究機構(IRS)緊急研究開発メンバーらとともにQuinceの改良および操縦試験等に日々取り組んできた。このたび発表されたQuinceの性能などは以下の通り。

【開発】
 千葉工業大学、東北大学、国際レスキューシステム研究機構プロジェクトチーム
【Quinceで何ができるか】
 ●環境モニタリング(屋内外)
  サーモグラフィー、放射線、ガス、湿度計測
 ●映像撮影(屋内外)
  調査作業の補助・代替、危険性・被曝低減
 ●3次元形状計測(屋内)
  写真ではわからない破壊状況の計測
 ●軽量物を動かす
  障害物を動かす、軽量物を設置する、軽量物をサンプリングする等
【Quinceの特長】
 ●高い運動性能
  瓦礫走破性能は世界一(米国災害対応訓練所で実証)
 ●カメラ、3次元スキャナ、などを搭載
  映像情報、3次元形状の計測
 ●ハンディ放射線・ガスセンサを搭載可能
  LCD表示をカメラ映像として伝送
  操縦支援機能?容易な遠隔操縦
 ●軽量物を動かすマニピュレータ
  センサ、軽量物を動かす
 ●防塵・防水
  浅い水たまり・散水OK、水没不可
 ●ハイパワー無線、有線による通信
  屋外2 km、屋内200mからの操縦
 ●千葉消防への試験配備と訓練使用
  比較的高い信頼性
 ●国内での開発
  変化するニーズへの適応、追加開発搭載

■千葉工業大学が6月8日に行ったプレス発表の配布資料などはこちら
 http://www.furo.org/ja/robot/quince/110608.html

千葉工業大学では2003年6月に、最先端のロボット技術により、人々の文明・文化の進歩に貢献できるような活動を目指す「未来ロボット技術研究センター・fuRo」を設立。アスリートロボットとも言われる高い運動性能を持つ小型ヒューマノイド「morph」シリーズをはじめ、未来の乗用車のプロトタイプである「Hallucigenia01」や、その後継機の「HallucII」、操縦コックピット「Hull」や可搬重量世界最大級の大型二足歩行ロボット「core」など、世界最高レベルのロボット開発やシーズ育成、ニーズ開拓に取り組んでいる。

▼本件に関する問い合わせ先
 千葉工業大学 未来ロボット技術研究センター(fuRo)
 TEL: 047-478-0376
 URL: http://www.furo.org/index.html