大学通信

エコキャンパス(上) 大学の特色を活かして、地球を救う!?

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今年は洞爺湖サミットの開催もあり、何かと環境問題に注目が集まる年である。最近では学内でエコロジー活動を推進している大学が多い。カリキュラムに組み込んだり、キャンパスでの緑化を推進したりと、どれも大学の特色を活かしたものばかりだ。【日本工業大学、ものつくり大学、帝京大学、日本大学、神奈川大学】

 環境問題に取り組む大学が増えている。内容も視点もさまざまだが、各大学がもともと持ち得ている特色を活かしているものが多いことに注目したい。

 日本工業大学(埼玉県宮代町)では、2001年6月に大学キャンパス全域でISO14001(国際環境規格)の認証を取得。「キャンパスまるごとエコ・ミュージアム」をキャッチフレーズに、自然豊かなキャンパスで体験的環境教育を進めている。太陽光発電システム、食堂から出る生ゴミのコンポスト化、構内の道路へ遮熱性舗装や透水性ブロックを採用するなどの、きめ細かな環境対策は、工学の視点から環境問題に取り組んできた同大ならでは。カリキュラム面では、教養科目に「地球環境と人間社会」、「環境と工学・工業社会」などの環境系科目、専門科目にも環境に関連した科目を多数用意しており、「環境が学べる大学」としての「学習環境」が整備されている。
( http://www.u-presscenter.jp/modules/bulletin/index.php?page=article&storyid=319 )

 ものつくり大学(埼玉県行田市)では、実験・実習に力を入れた“実践的体験型カリキュラム”を展開しているが、建設技能工芸学科3年生の授業では、自然環境にやさしくローコストな「浮橋」の建設に取り組んでいる。浮橋は、文字通り水に浮いているため、杭を打ち込んだり、川の流れを変えたり、護岸工事をするなど、川や池の自然環境を大きく変えてしまうことがない。また完成後も、橋脚がないため、水流により川底がえぐられてしまうこともなく、自然環境にやさしい橋だ。これを大学キャンパスにある調整池に建設しようというもので、全長は30mに達するという。
( http://www.u-presscenter.jp/modules/bulletin/index.php?page=article&storyid=312 )

 キャンパス内にて緑化計画を策定したのは帝京大学(東京都八王子市)だ。八王子キャンパス図書館のメディアラウンジ内で、「グリーン環境装飾プラン」として植栽による緑化を推進している。「キャンパスと自然との共生、自然と語り合うコミュニティ空間」をテーマに、夏をイメージした亜熱帯植物のヤシ・シダや、アクセントとして季節の花で彩られる。植栽による緑化は見た目に美しいのはもちろんだが、二酸化炭素の吸収効果をはじめ、風の流れを調整するなどの省エネ効果も期待できる。
( http://www.u-presscenter.jp/modules/bulletin/index.php?page=article&storyid=296 )

 日本大学文理学部(東京都世田谷区)では7月、「三大企画ジョイント展示」と銘打ち、「人民日報 四川大地震 報道写真展」「G8北海道洞爺湖サミット開催記念 8カ国ポスター展2008」「宇宙と空から見た日本・アジアの自然災害展」を開催した。報道写真やポスター、衛星画像などを通して自然災害や地球環境に関する理解を深めた。
( http://www.u-presscenter.jp/modules/bulletin/index.php?page=article&storyid=280 )

 神奈川大学湘南ひらつかキャンパス(神奈川県平塚市)では、理学部の学生を対象に、自然に恵まれた環境を活かしたユニークな授業『山の体験学習』を実施した。まず講義で地域の自然環境や動植物などの基本知識を習得し、フィールドワーク(大山登山)で講義で得た知識を身に付けようというもの。フィールドワークでは、かけがえの無い自然環境を守るために清掃登山も行った。科学者の卵として理学部に入学した学生同士、自然観察や山登りを通して“観察眼”やフィールドワークの“楽しさ”を見出すことができたのではないだろうか。
( http://www.u-presscenter.jp/modules/bulletin/index.php?page=article&storyid=322 )

 大学にはハード(キャンパス)とソフト(研究・カリキュラム)両面の財産がある。新しいものを外から持ち込むのも重要であるが、もともと持っている財産の素晴らしさに気付き、それを有効に活用することがそれ以上に重要なことかもしれない。環境問題への取り組みにも同じことが言えるのではないだろうか。