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玉川大学 量子情報科学研究所:「量子計算機実現の基盤となる新しい数理理論を構築」

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玉川大学量子情報科学研究所『量子情報科学研究センター』(主任:相馬正宜教授)の濱田充教授は、量子計算機を実現するための新しい理論的基盤を構築することに成功した。量子計算機は、通常「(基礎)ゲート」と呼ばれる最小情報処理要素の系列で構成されるが、これまでの標準的な万能基礎ゲート系列構成の理論には深刻な誤りがあった。今回、万能基礎ゲート系列構成の最適な方式を厳密な理論とともに提供した。本成果は、平成26年11月26日Royal Society Open Scienceに掲載された。また、本理論の正当性を検証するため最適な基礎ゲート系列構成方式を古典コンピュータ上で動作検証し、その結果は平成26年12月25日東京大学で開催されるJSIAM「行列・固有値問題の解法とその応用」研究会で報告される。

【今回の成果】
 量子情報科学研究センターの濱田 充教授は、量子計算機(量子コンピュータ)実現に向けての基礎的な成果を得た。すなわち、量子計算機は、「(基礎)ゲート」と呼ばれる最小処理要素の組み合わせで構成されるが、単一量子ビット系において任意の量子情報処理Uを構成するのに必要な最小の基礎ゲート数N(U,δ)を求め、そのN(U,δ)を達成する具体的な基礎ゲート系列によるUの構成法を与えた(δの意味は後述する)。本研究は、量子計算機の実現可能性に関する議論の根幹において深刻な誤信が、複数の標準的な教科書に見受けられることに気付いたことを契機に始めたものである。その誤信とは、端的に言って、N(U,δ)が常に3以下であるとの盲信であるが、基礎理論ともいえる本成果によればN(U,δ)は幾らでも大きくなり得る。これは、複数の教科書の著者が、それがあたかも万能な方式であるかのように嘯いた方式は、あやふやどころか原理的に存在し得ない幻想の産物であったことを意味する。本成果はそのような幻想に代わる量子計算機の構成方式をアルゴリズムとして具体的に与えており、しかもその最適性まで厳密に証明している。この最適基礎ゲート系列構成の設計アルゴリズムは、通常のPCで高速に動作するものであるが、その動作検証については平成26年12 月25日東京大学で開催される日本応用数理学会「行列・固有値問題の解法とその応用」研究部会第18回研究会において報告する。

■論文名
M.Hamada, “The minimum number of rotations about two axes for constructing an arbitrarily fixed rotation,” Royal Society Open Science, 1:140145, 2014. http://dx.doi.org/10.1098/rsos.140145.

▼取材に関するお問い合わせ
 学校法人 玉川学園
 キャンパス インフォメーション センター
 TEL: 042-739-8710
 FAX: 042-739-8723
 E-mail: pr@tamagawa.ac.jp
 〒194-8610 東京都町田市玉川学園6-1-1

▼研究内容に関するお問い合わせ
 玉川大学 量子情報科学研究所
 教授 濱田 充(はまだ みつる)
 研究室: 042-739-8684
 E-mail: m-hamada@lab.tamagawa.ac.jp