麻布大学、イヌがヒトの最良の友になるための遺伝的な手がかりを発見
本研究成果はNature系列の国際科学誌「Scientific Reports」オンライン版に2022年6月9日に掲載されます。
<研究のポイント(本研究で新たに分かったこと)>
・日本犬をはじめとする遺伝的にオオカミに近い古代犬種は、欧米犬種に比べて、解決できない問題に直面した時に、ヒトに依存する行動を示さない。
イヌの家畜化には、社会的行動に影響を与えるホルモンを制御するさまざまな遺伝子の変化が関与していると考えられていますが、どのような遺伝子の変化が起こったのか、正確なことは明らかにされていませんでした。
その結果、本研究では、Ancientグループは、解決不可能課題中に実験者を見る回数がGeneralグループよりも少なく、ヒトへの依存の程度が薄い可能性を見出しました。家畜化に関連していると考えられている遺伝子(オキシトシン、オキシトシン受容体、メラノコルチン2受容体の遺伝子、ヒトのウィリアムズ・ビューレン症候群関連遺伝子(WBSCR17、高社会性行動が特徴))と課題の結果との関連を調べたところ、メラノコルチン2受容体遺伝子の2つの多型が、指差し選択課題ではヒトのジェスチャーを正しく解釈すること、解決不可能課題では実験者を見つめる頻度が高くなることの両方と関連していることがわかりました。他の遺伝子多型は解決不可能課題でのヒトを見る頻度に関連していました。
以上のことからイヌの家畜化において、メラノコルチン2受容体遺伝子はイヌが強いストレスを感じずに、ヒトのそばにとどまり、ヒトと交流することを促進する役割を果たしたていることが示唆されました。
<掲載論文>
掲載誌: Scientific Reports(Nature系列の国際科学誌)
DOI: https://www.nature.com/articles/s41598-022-11130-x
原題: Identification of genes associated with human‑canine communication in canine evolution.
和訳: イヌの進化におけるヒトとイヌのコミュニケーションに関連する遺伝子の同定
著者名: 外池亜紀子*1, 大滝賢一*1, 寺内豪*1, 小川美里*1, 片山真希*1, 坂田日香里*1, 宮迫史奈*1,茂木一孝*1, 菊水健史*1,2, 永澤美保*1
*1 麻布大学獣医学部, *2 ヒトと動物の共生科学センター
<関連情報>
●麻布大学 獣医学部とは
獣医学部には獣医学科と動物応用科学科が設置されています。獣医学科では、全国共通のモデル・コア・カリキュラムと参加型臨床実習に対応した獣医学教育はもちろんのこと、臨床教育に適した施設・設備を整備して充実した教育を実践しています。さらに、多くの研究室において動物に関して多様な研究活動を行っています。また、動物応用科学科では、動物のさまざまな生命現象を、遺伝子などの分子、細胞から個体、群集までの多様なレベルで理解する動物生命科学分野、人と動物のより良い共生を追求する動物人間関係学分野の総合的な教育と質の高い研究を実施しています。
●麻布大学 ヒトと動物の共生科学センターについて
「ヒトと動物の共生科学センター」は、文部科学省・私立大学研究ブランディング事業「動物共生科学の創生による、ヒト健康社会の実現」の後継事業として位置づけ、麻布大学附置生物科学総合研究所内の研究部門に、プロジェクト研究の発展型として本センターが立ち上がりました。研究を基軸として、それにかかわる学生の教育、そして社会とのつながりを深めることで、ヒトと動物・環境の新しい共生の形を探求し、実現することを目指します。
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