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【2026年1月】ニュース特集 ~ 医療や生命、物質の謎に迫る 食糧危機の解決に迫る先端研究も(1月10日現在/更新中)

【2026年1月】ニュース特集 ~ 医療や生命、物質の謎に迫る 食糧危機の解決に迫る先端研究も(1月10日現在/更新中)
2016年1月に公開された、先端研究に関する各大学のリリースを紹介します(2026年1月6日~9日/随時更新中)。

○世界初! 新しいウイルス抵抗性遺伝子をナスから特定 世界中の農作物のウイルス病被害低減に繋がる成果(2026.01.09)
▼近畿大学大学院農学研究科(奈良県奈良市)農業生産科学専攻博士後期課程3年ナディア シャフィラ ポハン、同博士前期課程2年 吉川恭平(研究当時)、同2年 畑夏紀、近畿大学農学部農業生産科学科4年 佐伯亮太(研究当時)、同准教授 小枝壮太らの研究グループは、農作物のウイルス病の原因となるベゴモウイルス※1 の新しい抵抗性遺伝子をナスから特定しました。
ベゴモウイルスには463もの種類があり、分類されている全植物ウイルスの約1/5を占めます。ナス、トマト、トウガラシ、キュウリ、メロン、カボチャ、ズッキーニ、オクラ、マメ類、イモ類、ワタなどの作物がこのウイルスに感染すると、農産物の収穫がほとんどできなくなるため、農業生産において世界的な脅威となっています。本研究では、ナスを用いてこれまでに報告のない遺伝子がウイルス抵抗性に関与することを初めて明らかにしました。本研究成果により、抵抗性を持つ個体を判別する手法も確立できたことから、今後、品種改良によってナス生産におけるウイルス病の被害が軽減できると期待されます。
本研究に関する論文が、令和7年(2025年)12月27日(土)に植物学分野の国際学術誌”Theoretical and Applied Genetics(セオレティカル アンド アプライド ジェネティクス)”にオンライン掲載されました。
https://www.u-presscenter.jp/article/post-58464.html

ウイルス抵抗性遺伝子をもつナス(左)、ウイルス感受性ナス(中央)、ウイルスDNA蓄積量の比較(右)(近畿大学)

○量子分子シミュレーションを「経験」から「予測科学」へ ― 電子状態応答に基づく新しい QM/MM 設計原理を確立 ―(2026.01.09)
▼【成果のポイント】
・「QM/MM(量子力学/分子力学)法」は、巨大で複雑な分子系の機能を高精度かつ高効率に扱うための中核的な分子シミュレーション手法として広く用いられています。しかし、「巨大分子系のどこまでを量子力学で精密に扱うべきか」という QM 領域の設定は、研究者の経験に依存しており、予測性や再現性の観点から長年の課題となっていました。
・本研究では、分子認識や化学反応に伴って生じる分子軌道や電荷分布の変化といった電子状態応答に着目し、これらが QM 領域を定めるための客観的かつ明確な物理指標となり得ることを示しました。この電子状態応答は、QM/MM 計算に先立って、ごく簡便な領域分割型の半経験(semi-empirical)QM 計算を一度行うだけで、十分な精度で評価可能です。
・提案手法は、ゼオライト-構造規定剤複合体や、ヒトカテプシン-阻害剤複合体といった、材料科学および生命科学の双方において重要な系を含む幅広いモデルで検証され、異なる QM 計算条件に対しても一貫して適用可能であることを確認しました。
・今後、本手法は、創薬や高機能材料開発における予測的分子設計を支える、実用的な計算プラットフォームとしての展開が期待されます。
https://www.u-presscenter.jp/article/post-58450.html

中央大学ホームページ(画像をクリックすると、該当のページが開きます)

○栄養条件に応じ単細胞-多細胞をスイッチする遺伝子特定~多細胞生物の出現や進化の仕組み理解に寄与~(2026.01.08)
▼【本研究のポイント】
・海洋由来の黒色酵母株が栄養条件に応じて単細胞性増殖と多細胞体形成を切り換えることを発見した。
・単細胞性―多細胞性の切り換えに必要な10遺伝子を特定した。遺伝子を欠失させると、栄養状態に関わらず常に多細胞体として成長する株が生まれた。
・単細胞増殖している酵母に栄養を与えると、細胞内のMyb1タンパク質が急速に分解され、多細胞体の成長モードへと転換した。逆に、Myb1の発現は単細胞化を誘導した。Myb1が単細胞性―多細胞性変換の分子スイッチであることが示唆された。
・多細胞生物が生まれる仕組みを遺伝子・細胞レベルで研究できる新しいモデル系を確立した。
https://www.u-presscenter.jp/article/post-58453.html

栄養条件に応じ単細胞-多細胞をスイッチする遺伝子特定(名古屋大学)

○昭和医科大学などの研究グループが、腸内細菌由来RNAと機械刺激受容体Piezo1による新しい大腸がん抑制メカニズムを発見(2026.01.06)
▼昭和医科大学(東京都品川区、学長:上條由美)の髙山靖規講師(大学院医学研究科・生体制御学分野)は、愛知医科大学の丸山健太教授(医学部薬理学講座)、北海道大学の近藤豪講師(大学院医学研究院・生化学分野医化学教室)、産業技術総合研究所の熊谷雄太郎主任研究員(細胞動態システム研究グループ)らと共同で、腸内細菌に由来するRNAが機械刺激受容チャネルPiezo1を活性化し、大腸がんの増殖を抑制する新たな分子機構を明らかにしました。本成果は、Piezo1を標的とした新しいがん予防・治療法の可能性を拓くものであり、2025年12月17日に生命科学の学術誌『Cell Reports』に掲載されました。
https://www.u-presscenter.jp/article/post-58228.html