5-ALA塩酸塩とSFCを用いたミトコンドリア病に対する検証試験に関する研究論文発表のお知らせ
本検証試験は、埼玉医科大学小児科の大竹明教授(現客員教授・名誉教授)が、同阿部裕一講師(現 成育医療研究センター神経内科診療部長)および千葉県こども病院村山圭部長(現 順天堂大学難病の診断と治療研究センター教授)等と共同で実施したもので、実施にあたってSBIファーマ株式会社からの治験薬及び研究資金の提供を受けております。
| 掲載誌 | PLOS One |
| 表題 | A phase III double-blind, placebo-controlled, randomized withdrawal trial of 5‑aminolevulinic acid hydrochloride with sodium ferrous citrate for efficacy and safety in patients diagnosed as Leigh syndrome |
| 著者 | 埼玉医科大学病院小児科 大竹 明 名誉教授ら |
| URL | https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0332283 |
■要 旨
ミトコンドリア病の主な病型の一つであるリー脳症(※3)に対するSPP-004の有効性と安全性の検証を目的として、第III相(※4)ランダム化治療中止試験が実施されました。
54例の患者にSPP-004が24週間投与され、移行基準に設定された脳神経症状及び筋症状の改善がみられた28例が48週間の二重盲検期に移行し、SPP‑004群とプラセボ群に1:1で割り付けられました。主要評価項目である「効果不十分による中止率」は両群に統計学的有意差はありませんでしたが、プラセボ群が50.0%に対してSPP‑004群が15.4%であり、SPP‑004群では効果が維持された症例の割合が高いことが示されました。また、副次評価項目「効果不十分による中止に至るまでの期間」の比較では、SPP‑004群がプラセボ群よりも有意に長いことが示されました(p=0.0486、Log rank検定)。有害事象は両群で留意すべき差がなく、副作用の症状はすべて軽度でした。
ミトコンドリア病が重篤かつ進行性の疾患であることを考慮すると、SPP-004の安全性とミトコンドリア病の脳神経症状及び筋症状の進行に対して一定の効果を持つ可能性が示唆されました。
(※1) 5-アミノレブリン酸とは、体内のミトコンドリアで作られるアミノ酸で、ヘムやシトクロムと呼ばれるエネルギー生産に関与するタンパク質の原料となる重要な物質ですが、加齢に伴い生産量が低下することが知られています。5-アミノレブリン酸は、焼酎粕や赤ワイン等の食品にも含まれるほか、植物の葉緑体原料としても知られています。
(※2) SPP-004(5-ALA塩酸塩とSFC)は、開発中の製剤であり、医薬品の承認を受けていません。また本プレスリリースは論文の紹介であって、未承認薬の使用を推奨するものではありません。
(※3) リー脳症は、ミトコンドリア病の主要な病型(症状によるさまざまな病気の分類)の一つです。遺伝子異常によるミトコンドリアのエネルギー産生障害により引き起こされ、精神運動発達の遅延や退行が進む、慢性進行性の難治性疾患です。現時点では、根本的な治療薬や治療方法がなく、特に乳幼児期に発症すると予後が悪いことから、治療薬の開発が待望されています。
(※4) 第III相試験は、多くの患者で薬の効果と安全性を最終確認する重要な試験です。臨床試験は3段階あり、第I相試験では健康な人で安全性を確認するものです。第II相試験では少人数の患者で効果や副作用を調べるものですでに論文化されております。(Life (Basel). 2025 Jul 23;15(8):1168.)。第III相試験の結果は、薬の承認に必要なデータとなります。
以上
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