大学通信

大学の人材育成力 多様化する進路 (上)

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社会の求める人材が多様化している。それに伴い、大学の「人材育成力」に大きな期待が寄せられている。
文部科学省の調査によると、単位認定を伴う授業科目としてインターンシップを実施している大学は全体の7割近くを占めているが、グローバル化が進んだ今日、他大学との差異化を図った独自のプログラムや、海外を意識した研修など、ユニークな試みに注目が集まっている。
【ものつくり大学、玉川大学、桐蔭横浜大学、川崎医療福祉大学、法政大学、テンプル大学ジャパンキャンパス、日本工業大学】

 今、大学の人材育成力が期待されている。社会人基礎力を持った学生を育てるのはもちろんだが、学生の多様化する進路に応じた育成の場も求められている。

 ものつくり大学(埼玉県行田市)では、学生が企業等で就業体験をする「インターンシップ」を重視している。工学分野において、毎年400名を超える学生が参加。長期間(40日から80日)、複数回(2ないし3年次と4年次)授業時間内で実施している。受入企業なども300を超え、製造、建設の先進分野から宮大工のような伝統的分野まで幅広い。これらの独自性が、多数の企業の就職に実績を残す結果となっている。
( http://www.u-presscenter.jp/modules/bulletin/index.php?page=article&storyid=321 )

 玉川大学(東京都町田市)と、若手レストラン経営者で構成される七七会は、将来のホスピタリティビジネスを担う人材育成を目指した講座を春に開講した。講義を担当する12名の講師は、いずれも49歳以下の若手経営者。経営哲学やレストラン経営の魅力、さらには失敗から成功を導き出す発想など、レストラン経営の最前線での取り組みを、経営者が自ら学生に伝えた。現在、この講座は秋学期(2008年9月~2009年1月)が開講中だ。
( http://www.u-presscenter.jp/modules/bulletin/index.php?page=article&storyid=168 )

 時代の要請する人材育成のために、新学部・学科を開設する大学も増えている。桐蔭横浜大学(神奈川県横浜市)医用工学部は2009年4月に「生命医工学科」と「臨床工学科」に改組する予定だ。新しく開設する「生命医工学科」では、生命工学の技術に基づいた、21世紀の医療分野で活躍できる人材を育成するとともに、国家資格「臨床検査技師」の受験資格取得のためのカリキュラムも用意する。
( http://www.u-presscenter.jp/modules/bulletin/index.php?page=article&storyid=334 )

 川崎医療福祉大学(岡山県倉敷市)では、国内外で活躍する優秀な助産師を育成・輩出するために、大学院医療福祉学研究科保健看護学専攻に「助産学コース」を新設する(2009年4月開設)。同コースの課程を修了することにより、助産師国家試験受験資格が取得できる。
( http://www.u-presscenter.jp/modules/bulletin/index.php?page=article&storyid=378 )

 近年パイロット不足が問題となっている。法政大学(東京都小金井市)の今年4月に開設された理工学部機械工学科航空操縦学専修では、学生たちが初めての飛行実習(フレッシュマンズフライト)に臨んだ。他大学でもパイロット養成は始まっているが、国内空港を利用し、日本に居ながらにしてパイロットを養成するカリキュラムを展開しているのは同大のみという。
( http://www.u-presscenter.jp/modules/bulletin/index.php?page=article&storyid=339 )

 人材育成の場は海外にも及ぶ。テンプル大学ジャパンキャンパス(東京都港区)の学生は、企業の支援を受けて国内外のNGOでの研修に参加し、貴重な学習体験を得ている。今年は、インドのNGOにおける現地研修プログラムと国際NGOにおける長期インターン研修が実施された。
( http://www.u-presscenter.jp/modules/bulletin/index.php?page=article&storyid=332 )

 日本工業大学(埼玉県宮代町)の建築学科では、海外での現場体験を通して学ぶユニークなプロジェクトを実施している。カナダで行う「2×4木造建築工房」、東南アジアにおける「現場体験を通して学ぶ国際協力建築プロジェクト」のいずれも、事前に講義形式で専門知識を修得し、その後に現地での活動に入るという同大学独自のデュアルシステムによる教育法を採用している。
( http://www.u-presscenter.jp/modules/bulletin/index.php?page=article&storyid=360 )

 学生が望む進路、社会が求める人材に応えるよう、大学の人材育成力も年々高まっている。それらの期待にどれだけ応えられるかが、大学の評価にもつながる時代になってきているのかもしれない。