大学通信

大学の本領発揮 広がる人材育成の幅 (下)

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社会の高度化・複雑化に伴い、就業の形態、スタイルも多様化の一途をたどっている。大学の「面倒見の良さ」に大きな期待が寄せられる中、近年では学生のキャリア形成だけではなく、社会人やシニア層を対象にした講座にも注目が集まっている。
【立教大学、実践女子大学、金沢工業大学】

 近年、大学では人材育成に力を入れている。学生の多様な進路に応えるだけではなく、最近では社会人やシニアを対象とした人材育成にも力を入れている。

 立教大学(東京都豊島区)は、立教セカンドステージ大学として団塊世代を中心とする50歳以上のシニア層に対して、生涯学習の場を提供した。人文学的教養の修得を基礎とし、「学び直し」と「再チャレンジ」のサポートを目的とした日本で初めての試みだ。
( http://www.u-presscenter.jp/modules/bulletin/index.php?page=article&storyid=171 )

 実践女子大学(東京都日野市)では、2008年度前期の特別市民講義として「女子教育の新たなチャレンジ~ワーク・ライフ・バランス論」を開催した。毎週、学外からさまざまな分野の専門家を招請し、最先端の取り組みや研究動向などを発表し、一般人にも公開した。こうしたテーマに関心を持つことで、社会や地域、家庭に自信を持って羽ばたいていく女性を、一人でも多く育てようという狙いがある。
( http://www.u-presscenter.jp/modules/bulletin/index.php?page=article&storyid=328 )

 金沢工業大学(石川県石川郡)では、工業高校で専門教育に携わる教員のスキルアップを目的とした文部科学省委託事業「工業教育パワーアッププログラム」を開講した。今年度は「安全・環境に関する指導法」など5講座を開講、全国の23都道府県から述べ102名が参加した。中には校長や教頭、教育委員会主事が参加した講座もあったという。今年度の講座は7・8月で終了したが、来年度も開講する予定だ。
( http://www.u-presscenter.jp/modules/bulletin/index.php?page=article&storyid=313 )
 また同大では、今年度より「製造中核人材育成セミナー」を開催している。団塊世代の熟練技術者の退職が始まり、モノづくりの技術承継が危惧されているが、この講座では“匠の技”と“工芸の心”に科学的管理技術を身につけた工程管理技術者の育成を目的としている。北陸地域の製造業の次代を担う人材育成に期待したい。
( http://www.u-presscenter.jp/modules/bulletin/index.php?page=article&storyid=313 )
 さらに同大は、経済産業省の平成20年度「体系的な社会人基礎力育成・評価システム構築事業」に「全学年に展開する工学設計教育による社会人基礎力育成・評価システムの構築」が採択されている。これは、社会人基礎力に相当する能力として、人間力(社会に適応する力)とエンジニアリングデザイン能力(専門知識を統合して応用する能力)に分け、環境土木工学科において、入学から卒業するまでの4年間で社会人基礎力を段階的に育成する教育プログラムの構築を目指すものだ。
( http://www.u-presscenter.jp/modules/bulletin/index.php?page=article&storyid=329 )

 若い世代の学生を育成することだけが大学の人材育成ではない。シニア層の学び直しや教員のスキルアップを支援したりなど、大学の人材育成のフィールドは広がっている。
 少子化で募集環境が年々悪化する中、人材育成の幅を広げていくことが、大学の生き残りの鍵を握るかもしれない。