金沢工業大学

金沢工業大学が化学実験体験「君はお酒を飲めるかな」を開催―最先端科学の一端を体験―

大学ニュース  /  高大連携

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金沢工業大学では、高大連携の一環として、石川県立金沢泉丘高等学校 化学部・生物部の生徒11名(2年6名、1年5名)を対象とした化学実験体験「君はお酒を飲めるかな」を8月3日(月)、10時から17時30分まで、扇が丘キャンパスにて開催した。

■化学実験体験「君はお酒を飲めるかな」について
【テーマの概要】
 体内に入ったアルコールは、アルコール分解酵素により分解され体内で無毒なものに変換される。我々日本人は、アルコール分解酵素の能力の弱い人が比較的多いと人種と言われている。
 今回の実験では、髪の毛または爪からDNAを抽出・増幅させ、アルコール分解に関与する遺伝子について分析を行う。
 遺伝子の増幅には,ポリメラーゼ連鎖反応(Polymerase Chain Reaction)法を使う。
 PCR法はインフルエンザウィルスの遺伝子検査にも使われている方法で、実験では実際にDNAのPCR検査過程を体験する。

【当化学実験を通じて体験できること】
・目で見ることができない遺伝子を視覚的にとらえることができる。
・遺伝子解析の結果から,アルコールに強い体質か否かに関する知見を得ることができる。
・最先端科学の一端を体験できる。
(PCRは新型インフルエンザのDNA解析にも使われている方法である。)

 今回実験を体験したPCR法については、石川県立金沢泉丘高等学校の記念祭にて発表展示が予定されている。

【スケジュール】
 9:45 金沢工業大学24号館化学実験室集合
10:00 実験の原理等に関する説明 実験に使用する試薬・機器に関する簡単な安全教育
10:30 サンプル採取 (髪の毛または爪)
10:40 サンプルからDNA抽出
12:00 お昼
13:00 サンプルからDNA抽出 (午前中の続き)
14:00 PCR反応 PCR反応待ち時間にアガロース作製
16:00 アガロースゲル電気泳動
17:00 実験結果についての解説
17:30 実験終了予定

※PCRとは
 PCRとは、Polymerase Chain Reaction の略。文字通りDNAポリメラーゼを用いて連鎖反応的にDNAを増幅する方法で、数百万倍まで増幅することができる。

※PCRによるアルデヒドデヒドロゲナーゼ2(ALDH2)遺伝子型の検出について
 アルデヒドデヒドロゲナーゼ2(ALDH2)は、飲酒後エタノールが代謝されてできるアルデヒドを酸化し代謝する酵素である。3種類の遺伝子型が知られており、3種類のうちのどの遺伝子型を持っているかを調べることで、酒に強いか弱いかを判断することができる。
 正常型ホモ接合体(NN型)はいわゆるお酒が飲めるタイプ、ヘテロ接合体(MN型)はすぐに顔に出るが比較的飲めるタイプ、変異型ホモ接合体(MM型)はすぐに顔に出て飲めないタイプ。

※アガロースゲル電気泳動
 アガロースとは寒天の主成分をなす多糖で、熱水に溶かし室温に冷やしてゼリー状のゲルを作製する。このゲルは、多糖鎖間の水素結合が作る大きな網目構造を持っており、DNAを電気泳動する際によく用いられる。
 DNAはリン酸基を持つため、負の電荷をもっている。DNA溶液をアガロースゲルの溝に入れ、電圧をかけると、DNA分子は、アガロースの網目構造をくぐり、マイナスからプラスの方向に移動する。DNA分子の電荷は一定の割合でかかっているが、短いDNA断片は網目をくぐりやすく(網目に引っ掛かりにくい)、長い断片は網目をくぐりにくいため、移動の度合いに差ができる。これにより、DNAやRNAの分離や解析ができる。

▼本件に関する問い合わせ先
 金沢工業大学 広報課
 石川県石川郡野々市町扇が丘7-1
 TEL: 076-246-4784
 E-Mail: koho@kanazawa-it.ac.jp