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玉川大学学術研究所の広田修教授が「鍵を盗まれても解読されない暗号」の実在を証明

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玉川大学学術研究所の広田修教授は、光通信量子暗号(Y-00プロトコル)が、通信後に暗号を解く鍵を盗まれても解読されない暗号になり得るという、より高い安全性を示す一般的な証明に成功した。これによって、これまで究極の暗号と考えられていたOne time pad(鍵使い捨て暗号)を超える暗号の実在が明らかになった。この結果を12月16日(水)、電子情報通信学会情報セキュリティ研究会で発表する。

【今回の成果】
 現代暗号学の最重要課題の一つは、暗号学におけるShannon限界を破る暗号の存在を実証することである。その実例を示すため、光通信量子暗号(Y-00)がノースウエスタン大学と玉川大学によって提案されている。今回、このY-00が究極の安全性を持ち得ることが量子情報理論を用いて証明された。
 本結果を、平成21年12月16日(水)、電子情報通信学会 情報セキュリティ研究会(会場:機械振興会館)において発表する。
■論文名
“光通信量子暗号Y-00によるShannon限界超越とHolevo・相馬・広田の定理”

【証明内容】
 Y-00を実現する方法は、正規受信者が量子最適受信器を採用するものと、通常の光受信器を採用する2つのモデルがある。いずれにしてもこの暗号は、共通鍵を疑似乱数生成器によって伸長した系列で、正規受信者と盗聴者の信号検出能力に差をつけることによって、数百ビットの短い共通鍵暗号でありながら解読不可能性を達成する。
 今回、前者のモデルに対して、量子情報理論の基盤である「量子Shannon通信路符号化理論」の「Holevo・相馬・広田の定理」を用いて、Shannon限界超越の一般的な証明に成功した。この結果は、通信後に盗聴者が暗号を解く鍵を入手しても、その鍵で蓄積データを解読できないことを保証するものである。
 これにより、Y-00は従来の究極の暗号であるOne time padを超える、これまで存在しない安全性を持つことが証明された。


▼本件に関する問い合わせ先
 学校法人玉川学園(玉川大学)
 キャンパス インフォメーション センター 
 TEL:  042-739-8710
 E-mail:  pr@tamagawa.ac.jp