淑徳大学

障害児教育・保育の拠点として40年以上の歴史を誇る「淑徳大学発達臨床センター」──学生も子どもたちと関わりながら発達支援の実際を学ぶ

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淑徳大学発達臨床研究センターは、自閉症やダウン症など発達につまずきのある子どもたちのための治療教育施設である。1969年の開設以来、40年以上にわたり障害児教育・障害児保育の拠点として地域社会に貢献するとともに、発達支援を学ぶ学生たちの貴重な教育の場ともなっている。また、その教育・研究の成果は広く社会にも発信しており、8月6日・7日には「障害児の発達支援の方法を考える」をテーマに「発達臨床研修セミナー」を開催する。

 淑徳大学は、学祖である長谷川良信先生の地域社会への貢献を願う考えから、1965年の開学と同時に淑徳大学児童相談所を開設。その後、療育を実践する機関を目指し、さらに臨床実習生が実際に障害児と接することができる場所としても発展を続け、1992年からは「淑徳大学発達臨床研究センター」として最先端の臨床活動を続けている。

 同センターには現在、自閉症や言葉の遅れなど、発達障害のタイプもさまざまな子どもたち(1~6歳)が約25名在籍。基本的に週2回来所してもらい、最新の設備と独自に開発された豊富な療育教材によって、系統的・組織的な治療教育を実践。療育教材の開発や音楽療法、モンテッソーリ法などの療育方法論の開発などにより、各方面から高い関心を集めている。

 同施設は学生、院生らの教育の場としても活用されている。総合福祉学部社会福祉学科および実践心理学科では、発達障害児に接して学ぶ臨床実習が開講されており、選択科目「障害児初級臨床実習」「障害児上級臨床実習」を通じて、現在50人ほどの3、4年生が同センターで学んでいるほか、大学院社会福祉学専攻、臨床心理学専攻の院生たちも、より高度な実習を行っている。さらに、来春の開設を目指して設置計画が進められている総合福祉学部教育福祉学科(仮称、文部科学省に設置届出準備中)でも、同センターを教育活動の場として活用する予定だ。

 淑徳大学における臨床実習の特徴としては、実習期間の長さと、子どもたちとのかかわりの深さが挙げられる。通常の保育実習や教育実習は数週間から1か月と短いが、同大の「障害児臨床実習」では、専門職スタッフが務めるスーパーバイザーの指導のもと、学生は1~2年間継続して一人の子どもを担当し、発達支援の実際をじっくりと学んでいる。また、指導の際に最も重要となる教材・教具も、学生らが先生とともに考え、一人ひとりの子どもに合わせて製作している。

 こうした臨床実習を体験した実習生は、福祉施設などから即戦力として期待されており、実際に、多くの卒業生が特別支援学校・学級や障害児・者の施設、障害児保育の現場などで活躍している。


【淑徳大学発達臨床研究センター 石井みや子先生のコメント】
 本学の学生が実習生として、このセンターで子どもたちと接しながら勉強する授業が始まったのは1972年ごろからです。3・4年次生が年間を通して一人の子どもを担当するというのは、本学ならではのカリキュラムでしょう。宇佐川浩教授(センター長)による独自の宇佐川理論に基づきながら、若い学生たちが、掛け値なしに素のままで子どもたちと関わっています。子どもたちは学生をお兄さん、お姉さんと呼んでなついてくれますし、学生が子どもたちから教わることも多い。保護者の方々からも、ここに来てよかったという感想をいただいています。自閉症や言葉の遅れ、全般的な発達の遅れなどさまざまなタイプの子どもたちがいますが、本センターでの教育・研究の成果が社会の福祉に貢献できるよう、学生もスタッフも日々真剣に活動に取り組んでいます。

【平成20年度 卒業生の声】
◎障害児臨床実習では子どもたちがかわいく、毎週会うのが楽しみでした。はじめは、席に付けずに泣いてばかりいた子も次第に慣れ、「おねえちゃん」と呼んでくれたことや、笑顔を見せてくれたことがとても嬉しかったことを覚えています。今、私は特別支援学校で働いています。悩むことや上手くいかないこともありますが、課題の選び方や提示の仕方など実習で学んだことや経験がとても役立っています。その子に合った課題を考えることや、振り返りの中で自分の関わりを見直し発見することなどは、センターでの臨床実習でしか学べないと感じています。また、子どもの成長や秘めたパワーをそばで見ることができ本当に良かったと思っています。 〈千葉県特別支援学校教員〉

◎私は現在都内の公立保育士として保育園に勤務しています。保育園の中にも統合保育として、発達につまずきを持つ子どもが在籍していますが、日常生活の指導や遊び、コミュニケーションの方法などセンターの実習で学んだことが活きていると実感しています。何より担当児の発達の変化を間近で見ることができたことは、とても勉強になりました。 〈都内公立保育園保育士〉

◎私は学部の2年生の時に講義を通してセンターの実習を知り、是非やってみようと思いました。実際子どもたちとかかわると、講義だけではわからない子どもの発達のつまづきやかかわり方を学び、大変有意義な実習でした。センターのスタッフともよく話ができ、実習生同士の関係も広がり、お互いに高め合うことができました。1年間継続して子どもとかかわれることはとても勉強になると思います。 〈社会福祉士、大学院進学〉

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 なお、発達臨床研究センターでは毎年夏に障害児の発達臨床研修セミナーを主催しており、現職の障害児の先生など、北海道から九州まで全国から400人近い参加者を集めている。このセミナーは専門家の講演と、現場の実践研究報告で構成され、学生も参加することができる。
 このほか、同センターでは紀要『発達臨床研究』を毎年発行。障害児の療育についての研究成果を広く社会に向けて公表している。

【第35回 淑徳大学発達臨床研修セミナー 概要】
・日 時: 2010年8月6日(金)~7日(土)
・テーマ: 「障害児の発達支援の方法を考える」
・会 場: 淑徳大学千葉キャンパス12号館101教室
・定 員: 500人
・参加資格: 障害児・者の教育や療育・福祉に携わっている方ならびに教育や福祉を学んでいる学生
・参加費: 4,000円


▼本件に関する問い合わせ先
 淑徳大学
 〒260-8701 千葉市中央区大巌寺町200
 TEL: 043-265-7331
 FAX: 043-265-8310
 E-mail: hattatsu◎soc.shukutoku.ac.jp
 ※「◎」は「@」(アットマーク)を表します