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千葉工業大学惑星探査研究センターが「高速衝突実験室」を開設――天体衝突に関する実験などを展開

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千葉工業大学惑星探査研究センター(PERC/Chitech)はこのたび、「高速衝突実験室」を開設する。これは、「小型衛星探査用の宇宙塵捕集機構の新規開発」「惑星衝突探査用の基礎データ取得」および「天体衝突の理解を目指した基礎実験」の3つを目的とした施設。高速度衝突の実験が可能な最新の二段式軽ガス銃をはじめ、時間掃引型高速分光計や高速ビデオカメラ、四重極質量分析計などを備えており、今後はこれらの目的に向けたさまざまな物理・化学計測を行う。

 千葉工業大学惑星探査研究センターは、宇宙および惑星と生命の起源・進化の過程の解明や、宇宙の活動のために必要な科学技術の開発研究を目的に、惑星探査機の開発・製作をはじめ、惑星探査データの解析、惑星科学研究などを行っている。

 このたび、同センターは最新の二段式軽ガス銃を擁した「高速衝突実験室」を開設した。新設された二段式軽ガス銃は高速度衝突に特化した設計で特注されたもので、直径4.6 mmの弾丸を最高で約9 km/sまで加速することができる。下流系計測機器としては時間掃引型高速分光計、高速ビデオカメラ、四重極質量分析計を有し、さまざまな物理・化学計測が可能となっている。

 同実験室では主に3つの目標を達成するための実験を行う。
 1つ目は、「小型衛星探査用の宇宙塵捕集機構の新規開発」である。宇宙空間には小惑星、彗星を起源とする塵がただよっている。小型衛星を用いてそれらを無傷で回収できれば、小天体の成り立ちを知ることができる。

 2つ目は、「はやぶさ」をはじめとする「惑星衝突探査用の基礎データ取得」。未知の小天体に探査機を送り込む場合に問題となるのは、その表面状態がわからないこと、およびその表面は太陽光に照らされ、始原的な情報は失われてしまっていることである。これらの困難を打破する目的で日本の研究者によって発案された、「衝突探査」のためのデータ取得を目指す。

 3つ目は、「惑星科学の基礎過程である『天体衝突』の理解を目指した基礎実験」である。地球史を通じて起こってきた天体衝突は、激しい化学反応過程を引き起こす。同センターの研究員を含む研究チームによって、恐竜絶滅は天体衝突によって引き起こされたことが判明しているが、対照的に原始地球における生命の起源にも天体衝突が重要な役割を果たしうると考えられている。「我々はどこから来たのか? 我々は何者か? 我々はどこへ行くのか?」というアストロバイオロジー(宇宙生物学)の問いかけに答えるために、天体衝突現象を理解することは非常に重要な課題となっている。

▼本件に関する問い合わせ先
 千葉工業大学 惑星探査研究センター 
 大野 ohno@perc.it-chiba.ac.jp
 石橋 ko.ishibashi@perc.it-chiba.ac.jp