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大学所蔵の「古文書」――貴重な史料を公開講座やインターネットで閲覧できる大学も多数

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大学では研究・教育活動の基盤となる古文書や史料を多数収集・所蔵している。歴史的価値の高い文書や写真は企画展などで公開されるほか、インターネットでも閲覧ができる大学もある。
【大妻女子大学、玉川大学、東京経済大学、東洋大学、法政大学、神奈川大学、横浜市立大学、京都外国語大学、京都産業大学】

 大妻女子大学(東京都千代田区)総合情報センター図書館には、狂歌の蜀山人・大田南畝(なんぽ)編、喜多川歌麿画、蔦屋重三郎刊の「夷歌連中双六(えびすうたれんちゅうすごろく)」など江戸・天明文学のコレクションが所蔵されている。中でも「双六」は、現在は同大だけに存在が確認されている貴重な資料。そのほか、樋口一葉の日記を書き抜いた森鴎外自筆の「一葉日記抄」といった希少な資料もあり、学外の美術館や図書館の企画展に貸し出されることもある。
( http://www.u-presscenter.jp/modules/bulletin/index.php?page=article&storyid=2182 )

 玉川大学(東京都町田市)教育博物館では、剥製師のジョン・グールドが石版画(リトグラフ)の技法を使って描いた精密な鳥類の図「ジョン・グールド鳥類図譜」全40巻を所蔵。美術的価値もさることながら、すでに絶滅した鳥たちの習性の描写や植物なども描かれているこの図譜は、生物学・植物学的にも貴重な資料となっている。これまでは企画展でしか見ることができなかったが、同館において月替わりに1冊ずつ公開を開始している。
 また、インターネット( http://j-gould.tamagawa.jp/Japanese/index.html )でも閲覧が可能。
( http://www.u-presscenter.jp/modules/bulletin/index.php?page=article&storyid=4255 )

 東京経済大学(東京都国分寺市)の図書館には歴史的な貴重書が多く、その一部をデジタルアーカイブとしてインターネット( http://archives.tku.ac.jp/ )にて公開している。閲覧できるのはアダムスミスの「国富論」を批判した「公富論」を著し、18~19世紀に活躍した異色の貴族経済学者・第8代ローダデール伯(英国1759~1839)が集めた蔵書や、明治期日本人の朝鮮観をうかがわせる「朝鮮関係錦絵」も含む、近代朝鮮研究の文献誌家として著名な故・桜井義之氏の蔵書など。
( http://www.u-presscenter.jp/modules/bulletin/index.php?page=article&storyid=4644 )

 東洋大学(東京都文京区)附属図書館には、創立者井上円了が収集した資料が所蔵されている。伊勢物語(江戸初期写本)や今昔物語集(江戸時代刊)をはじめ、宇治拾遺物語集(万治2年刊)、歌川国芳画『地獄絵』(天保年間刊)、歌川豊国画『東海道四谷怪談』(文久元年刊)、源氏物語 はゝき木(鎌倉時代前期写)といった貴重書のほか、勝海舟から寄贈された『文殊菩薩像』『般若心経の書』なども保管されている。企画展などで一般公開。
( http://www.u-presscenter.jp/modules/bulletin/index.php?page=article&storyid=3988 )

 法政大学(東京都千代田)は12月まで、公開講座「古文書にみる 武州御嶽山の歴史」を開催する。これは、関東屈指の山岳信仰の古社として知られる武蔵御嶽神社および御師家が所蔵している古文書についての学術調査結果を紹介するもの。同大は青梅市と合同で1995年から研究活動を行っており、古文書目録2冊、史料集4冊を刊行している。講座では武蔵御嶽神社の祭礼や神事、参詣などについて講演を行う。参加費無料、事前申し込み不要。
( http://www.u-presscenter.jp/modules/bulletin/index.php?page=article&storyid=5603 )

 神奈川大学(横浜市神奈川区)は今年5月、デジタルアーカイブ( http://kdarchive.kanagawa-u.ac.jp/archive/ )の公開を開始した。これは、同大の諸機関が所蔵する歴史・民俗資料をはじめ、学術資料、研究成果などを広く伝えることを目的としたもの。今年度は同大の日本常民文化研究所および資料編纂室の所蔵・収集資料を順次公開予定。一般の人も利用が可能となっており、幅広く活用されることが期待されている。
http://www.u-presscenter.jp/modules/bulletin/index.php?page=article&storyid=5205

 横浜市立大学(横浜市金沢区)は、明治初期頃までに刊行された和本や、中華民国以前(1912)までの漢籍などを資料として所蔵。日本文化ゼミの学生らが毎月、学術情報センター内で「貴重書月替わり展覧会」を開催している。これまでに「解体新書」(安永3年・1774)や「武田家朱印状」(永禄10年・1567)をはじめ、「萬國旗章圖譜」(嘉永5年・1852)、「神奈川横濱新湊港崎町遊郭花盛之圖眞景」(万延元年・1860)「新古今和歌集竟宴倭歌」(元久2年・1205)などを紹介している。
( http://www.u-presscenter.jp/modules/bulletin/index.php?page=article&storyid=5570 )

 京都外国語大学・短期大学(京都市右京区)の付属図書館は、羊皮紙に手書きされた12~13世紀の聖書や『ブリタニカ百科事典』の初版本、ジョージ・ワシントンの自筆書簡など、世界の貴重書を多数所蔵。毎年開催する貴重書展示会にて一般公開を行っている。また、一部の貴重書や史料などを同館のホームページの「世界の美本ギャラリー」( http://www.kufs.ac.jp/toshokan/gallery/gallery.htm )にて紹介している。
( http://www.u-presscenter.jp/modules/bulletin/index.php?page=article&storyid=3898 )

 京都産業大学(京都市北区)中央図書館には、妖怪が近衛使や検非違使に扮し、葵祭の行列をする様をユーモラスに描いた「異形賀茂祭絵巻」や、西行の出家から往生までを長大なスケールで描いた「西行法師絵物語」の中から上賀茂神社を訪れる場面、伝土佐光起画の絵巻「賀茂神事」やカルタ「頓阿百首」など、中世文学関係の貴重な資料が多数所蔵されている。一部がインターネットの「貴重書電子展示室」( http://www.kyoto-su.ac.jp/lib/kichosyo/index.html )にて公開されている。
( http://www.u-presscenter.jp/modules/bulletin/index.php?page=article&storyid=4435 )