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玉川大学脳科学研究所が、被虐待経験がある児童は他者の幸せな表情を理解するのが苦手であることを発見――米国科学雑誌に論文を発表

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玉川大学脳科学研究所(町田市玉川学園6-1-1 所長代行:坂上 雅道)の高岸 治人(たかぎし はると)助教と北海道大学の小泉 径子(こいずみ みちこ)大学院生・日本学術振興会特別研究員らは、被虐待経験がある児童は他者の幸せな表情を理解するのが苦手であることを実験によって明らかにした。この研究成果は、米国の科学雑誌“PLOS ONE”(オンライン版)に2014年1月20日(米国東部標準時間)に掲載された。http://dx.plos.org/10.1371/journal.pone.0086093

【掲載論文名】
 The Relationship between Child Maltreatment and Emotion Recognition(児童虐待と感情理解の関係)http://dx.plos.org/10.1371/journal.pone.0086093

 児童虐待の報告件数は年々増加の一途をたどっており、児童虐待の防止や対策、そして被虐待経験が児童のこころに与える影響を明らかにすることは我が国にとって急務であることは間違いない。この研究では、被虐待経験がある児童と被虐待経験がない児童を対象に他者の表情からその人物の気持ちを推測させる課題を行うことで、被虐待経験と他者の表情理解の関連を検討した。
 研究の結果、被虐待経験がある児童は、他者の幸せそうな表情や優しい気持ちの表情といったポジティブな感情に関する表情理解が苦手であることが明らかになった。私たちは、自身が感じている気持ちを手がかりにして他者の気持ちを推測することが分かっているが、被虐待経験がある児童が他者のポジティブ感情に関する表情理解が苦手であるというこの研究の結果は、被虐待経験がある児童がポジティブな感情をこれまで経験することが少なかったことが原因の一つであると考えられる。被虐待経験がある児童が示すこころの特徴を明らかにすることは、児童が保護された後の社会適応へのケアに貢献すると期待される。

▼取材に関する問い合わせ先
 玉川学園 教育企画部
 キャンパス インフォメーション センター
 TEL: 042-739-8710 FAX:042-739-8723
 E-mail: pr@tamagawa.ac.jp

▼研究内容に関する問い合わせ先
 玉川大学 脳科学研究所
 助教 高岸 治人(たかぎし はると)
 研究室: 042-739-7438 携帯: 090-9142-5034
 E-mail: takagishi@lab.tamagawa.ac.jp