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昭和大学(学長:小出良平)の美島健二教授(歯学部 口腔病態診断科学講座 口腔病理学部門)、田中準一助教(歯学部 口腔病態診断科学講座 口腔病理学部門)と理化学研究所(理事長:松本紘)の辻孝チームリーダー(生命機能科学研究センター 器官誘導研究チーム)らを中心とした共同研究グループは、マウスES細胞から唾液分泌能を有する唾液腺器官の再生に成功しました。
本成果は英国オンライン版科学雑誌『Nature Communications』に英国時間10月11日に掲載され、10月11日に文部科学省にて記者発表を行いました。
【本研究成果のポイント】
・マウスES細胞から誘導した口腔粘膜上皮にSox9とFoxc1遺伝子を共発現させることにより三次元的に機能的な唾液腺器官の再生に成功しました。
・マウス唾液腺への同所移植により、再生唾液腺に唾液分泌能があることを明らかにしました。
外分泌腺組織の1つである唾液腺は、口腔内に唾液を分泌する組織です。唾液は消化作用、抗菌作用および口腔粘膜の保護作用などを有し、口腔内環境の維持に重要な役割を果たしています。近年、唾液分泌低下による口腔乾燥症患者の増加が指摘され、症状の重篤な場合には、著しいQOLの低下をもたらすことが懸念されています。
共同研究グループはマウス唾液腺発生過程の解析により唾液腺原基の形成に重要な2つの遺伝子(Sox9, Foxc1)を同定しました。これらの遺伝子をES細胞から誘導した口腔粘膜上皮に遺伝子導入することにより三次元的な唾液腺器官の再生に成功しました。ES細胞から誘導した唾液腺原基(誘導唾液腺原基)は形態学的な特徴や遺伝子発現解析からも胎生期唾液腺原基に類似していました。この誘導唾液腺原基を、大唾液腺の1つである耳下腺を摘出したマウスに同所的に移植すると、残存唾液腺の導管と誘導唾液腺原基が接続して唾液腺へと再生することが確認されました。さらに、唾液分泌促進薬や味覚刺激により、神経経路を介して再生した唾液腺から口腔内へ再生唾液が分泌されることが確認されました。
今回得られた再生唾液腺は、唾液腺発生メカニズムの解析はもとより、唾液腺分泌障害に対する再生医療や唾液腺疾患解析、創薬スクリーニングの有用なツールとなることが期待されます。
本成果は英国オンライン版科学雑誌『Nature Communications』に英国時間10月11日に掲載されます。
※研究内容の詳細は添付PDF参照
■用語
・ES細胞
胚性幹細胞発生初期に存在する内部細胞塊から作られる細胞であり,あらゆる種類の体細胞へ分化する能力を持つ多能性幹細胞の1つである。
・外分泌腺
唾液、涙液、汗といった分泌液を体外へ放出する器官の総称であり、唾液腺、涙腺、乳腺、汗腺などが外分泌腺に含まれる。
・唾液腺原基
原基とは器官(臓器)が発生する段階で最も早い時期に形成される器官のもととなるものであり、いわば器官のタネ(種)である。唾液腺原基は、唾液腺になることが決定した唾液腺器官のもとを指す。
■発表論文
<著者>
Junichi Tanaka, Miho Ogawa, Hironori Hojo, Yusuke Kawashima, Yo Mabuchi, Kenji Hata, Shiro Nakamura, Rika Yasuhara, Koki Takamatsu, Tarou Irie, Toshiyuki Fukada, Takayoshi Sakai, Tomio Inoue, Riko Nishimura, Osamu Ohara, Ichiro Saito, Shinsuke Ohba, Takashi Tsuji, and Kenji Mishima*. (*corresponding author,Takashi Tsuji and Kenji Mishima contributed equally last authorship to this work.)
<論文タイトル> Generation of orthotopically functional salivary gland from embryonic stem cells <論文および雑誌情報等>
Nature Communications
DOI:0.1038/s41467-018-06469-7
URL: http://www.nature.com/ncomms
■ 共同研究チーム(敬称略)
昭和大学歯学部・病態診断科学講座口腔病理学部門(田中準一、安原理佳、美島健二)・口腔生理学講座(中村史朗、井上富雄)・顎顔面口腔外科(高松弘貴)、理化学研究所生命機能科学研究センター 器官誘導研究チーム(辻 孝)、株式会社オーガンテクノロジーズ(小川美帆)、東京大学大学院医学系研究科附属疾患生命工学センター臨床医工学部門(北條宏徳、大庭伸介)、理化学研究所統合生命医科学研究センター 統合ゲノミクス研究グループ(当時)・かずさDNA研究所(川島祐介、小原 收)、東京医科歯科大学大学院保健衛生学研究科分子生命情報解析学分野(馬渕 洋)、大阪大学大学院歯学研究科生化学教室(波多賢二、西村理行)、岩手医科大学病理学講座病態解析学分野(入江太朗)、徳島文理大学薬学部病態分子薬理学研究室(深田俊幸)、大阪大学大学院歯学研究科高次脳口腔機能学講座顎口腔機能治療学教室(阪井丘芳)、鶴見大学歯学部病理学講座(斎藤一郎)
▼本件に関する問い合わせ先
・昭和大学歯学部口腔病態診断科学講座口腔病理学部門 教授
美島 健二(みしま けんじ)
TEL: 03-3784-8168
・マウスES細胞から誘導した口腔粘膜上皮にSox9とFoxc1遺伝子を共発現させることにより三次元的に機能的な唾液腺器官の再生に成功しました。
・マウス唾液腺への同所移植により、再生唾液腺に唾液分泌能があることを明らかにしました。
外分泌腺組織の1つである唾液腺は、口腔内に唾液を分泌する組織です。唾液は消化作用、抗菌作用および口腔粘膜の保護作用などを有し、口腔内環境の維持に重要な役割を果たしています。近年、唾液分泌低下による口腔乾燥症患者の増加が指摘され、症状の重篤な場合には、著しいQOLの低下をもたらすことが懸念されています。
共同研究グループはマウス唾液腺発生過程の解析により唾液腺原基の形成に重要な2つの遺伝子(Sox9, Foxc1)を同定しました。これらの遺伝子をES細胞から誘導した口腔粘膜上皮に遺伝子導入することにより三次元的な唾液腺器官の再生に成功しました。ES細胞から誘導した唾液腺原基(誘導唾液腺原基)は形態学的な特徴や遺伝子発現解析からも胎生期唾液腺原基に類似していました。この誘導唾液腺原基を、大唾液腺の1つである耳下腺を摘出したマウスに同所的に移植すると、残存唾液腺の導管と誘導唾液腺原基が接続して唾液腺へと再生することが確認されました。さらに、唾液分泌促進薬や味覚刺激により、神経経路を介して再生した唾液腺から口腔内へ再生唾液が分泌されることが確認されました。
今回得られた再生唾液腺は、唾液腺発生メカニズムの解析はもとより、唾液腺分泌障害に対する再生医療や唾液腺疾患解析、創薬スクリーニングの有用なツールとなることが期待されます。
本成果は英国オンライン版科学雑誌『Nature Communications』に英国時間10月11日に掲載されます。
※研究内容の詳細は添付PDF参照
■用語
・ES細胞
胚性幹細胞発生初期に存在する内部細胞塊から作られる細胞であり,あらゆる種類の体細胞へ分化する能力を持つ多能性幹細胞の1つである。
・外分泌腺
唾液、涙液、汗といった分泌液を体外へ放出する器官の総称であり、唾液腺、涙腺、乳腺、汗腺などが外分泌腺に含まれる。
・唾液腺原基
原基とは器官(臓器)が発生する段階で最も早い時期に形成される器官のもととなるものであり、いわば器官のタネ(種)である。唾液腺原基は、唾液腺になることが決定した唾液腺器官のもとを指す。
■発表論文
<著者>
Junichi Tanaka, Miho Ogawa, Hironori Hojo, Yusuke Kawashima, Yo Mabuchi, Kenji Hata, Shiro Nakamura, Rika Yasuhara, Koki Takamatsu, Tarou Irie, Toshiyuki Fukada, Takayoshi Sakai, Tomio Inoue, Riko Nishimura, Osamu Ohara, Ichiro Saito, Shinsuke Ohba, Takashi Tsuji, and Kenji Mishima*. (*corresponding author,Takashi Tsuji and Kenji Mishima contributed equally last authorship to this work.)
<論文タイトル> Generation of orthotopically functional salivary gland from embryonic stem cells <論文および雑誌情報等>
Nature Communications
DOI:0.1038/s41467-018-06469-7
URL: http://www.nature.com/ncomms
■ 共同研究チーム(敬称略)
昭和大学歯学部・病態診断科学講座口腔病理学部門(田中準一、安原理佳、美島健二)・口腔生理学講座(中村史朗、井上富雄)・顎顔面口腔外科(高松弘貴)、理化学研究所生命機能科学研究センター 器官誘導研究チーム(辻 孝)、株式会社オーガンテクノロジーズ(小川美帆)、東京大学大学院医学系研究科附属疾患生命工学センター臨床医工学部門(北條宏徳、大庭伸介)、理化学研究所統合生命医科学研究センター 統合ゲノミクス研究グループ(当時)・かずさDNA研究所(川島祐介、小原 收)、東京医科歯科大学大学院保健衛生学研究科分子生命情報解析学分野(馬渕 洋)、大阪大学大学院歯学研究科生化学教室(波多賢二、西村理行)、岩手医科大学病理学講座病態解析学分野(入江太朗)、徳島文理大学薬学部病態分子薬理学研究室(深田俊幸)、大阪大学大学院歯学研究科高次脳口腔機能学講座顎口腔機能治療学教室(阪井丘芳)、鶴見大学歯学部病理学講座(斎藤一郎)
▼本件に関する問い合わせ先
・昭和大学歯学部口腔病態診断科学講座口腔病理学部門 教授
美島 健二(みしま けんじ)
TEL: 03-3784-8168
FAX: 03-3784-2870
E-mail: mishima-k@dent.showa-u.ac.jp
・理化学研究所生命機能科学研究センター
器官誘導研究チーム チームリーダー
辻 孝(つじ たかし)
TEL: 078-306-3447
E-mail: mishima-k@dent.showa-u.ac.jp
・理化学研究所生命機能科学研究センター
器官誘導研究チーム チームリーダー
辻 孝(つじ たかし)
TEL: 078-306-3447
大学・学校情報 |
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大学・学校名 昭和大学 |
URL https://www.showa-u.ac.jp/ |
住所 品川区旗の台1-5-8 |
昭和大学は医学部、歯学部、薬学部、保健医療学部の4学部が揃う「医系総合大学」です。創立以来、“常に相手の立場に立ってまごころを尽くす”という意味の「至誠一貫」を建学の精神に掲げ、思いやりのある人間性豊かな医療人の育成を最大の使命として、教育と研究に取り組んでいます。患者さんに誠意を持って接し、患者さん本位の医療を提供すること。そして忘れてはならないのは医療人同士の思いやりです。昭和大学には、この医療人同士が心を通じ合わせて治療にあたる「チーム医療」の学びがあります。 1年次の富士吉田キャンパスでの全寮制では4学部の学生が一緒に生活し、医療人として大切なコミュニケーション能力と相手を思いやる心を育みます。そして2年次より専門科目を学びながら、継続的に最終学年まで体系的なチーム医療教育を実践しているのが大きな特色です。 |
学長(学校長) 久光 正(ひさみつ ただし) |