京都産業大学

【京都産業大学】合成途上の新生タンパク質が見せる動的な挙動を網羅的に検出する手法の開発と解析-- 米国科学雑誌「Cell Reports」(オンライン版)に掲載

大学ニュース  /  先端研究

  • ★Facebook
  • ★Twitter
  • ★Google+
  • ★Hatena::Bookmark

京都産業大学生命科学部 千葉志信教授らの研究グループは、翻訳一時停止因子を用いて、細胞内で合成途上にある新生タンパク質の成熟化の動きを網羅的に感知する手法「TnDR」を開発し、新生タンパク質の動的な挙動を解明した。

タンパク質は、役割を果たす持ち場へと運ばれたり(局在化)、機能する形へと折り畳まれたりすることで、機能を持つタンパク質へと「成熟化」する。この成熟化は、タンパク質合成の完了を待たずに開始されると示唆されていたが、それがどれほど一般的であるかについての実験はほぼなされていなかった。

京都産業大学生命科学部 千葉志信教授(同大学タンパク質動態研究所所員)らの研究グループは、枯草菌をモデル生物とし、翻訳一時停止因子を用いて細胞内で合成途上にある新生タンパク質の成熟化の動きを網羅的に感知する手法「TnDR」を新たに開発した。この手法を用いることにより、合成されている途中で成熟化の動きを起こすタンパク質を多数見出すことに成功した。実際に様々なタンパク質が、合成の途上で成熟化を開始することが示唆され、細胞が合成と成熟化を同時進行させることで、機能を持つタンパク質を効率よく生み出しているものと考えられる。
本研究成果により、私たちが生きていく上でなくてはならないタンパク質が、実際の細胞内でどのように合成され、組み立てられているのかといった生命の基本的な仕組みを理解することに貢献できると期待される。

この研究成果は、2020年10月14日に米国科学雑誌「Cell Reports」(オンライン版)に掲載された。

むすんで、うみだす。  上賀茂・神山 京都産業大学

関連リンク
・合成途上の新生タンパク質が見せる動的な挙動を網羅的に検出する手法の開発と解析
 https://www.kyoto-su.ac.jp/news/20201026_400_tanpaku.html
・タンパク質動態研究所
 https://www.kyoto-su.ac.jp/collaboration/ph/kikou_pr.html
・京都産業大学 生命科学部 千葉 志信 教授
 https://www.kyoto-su.ac.jp/faculty/professors/ls/chiba-shinobu.html


▼本件に関する問い合わせ先

京都産業大学 広報部

住所

: 〒603-8555 京都市北区上賀茂本山

TEL

: 075-705-1411

FAX

: 075-705-1987

E-mail

kouhou-bu@star.kyoto-su.ac.jp

20201112_press.jpg 図 タンパク質合成装置であるリボソームはアミノ酸を連結してタンパク質を合成する。新生タンパク質はリボソームの外へと出てきて、立体構造形成や局在化を行う(図左)。今回用いた翻訳一時停止因子は、自身の合成を一時停止させる。また、N末端に付加した新生タンパク質の動きに応答し、翻訳再開を許す性質を持つ。本研究では、この翻訳一時停止因子を「動きセンサー」として利用し、成熟化に伴って生じる動きを検出した。