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【京都産業大学】鉄系超伝導体の不思議な反強磁性ゆらぎを発見-英国物理学会出版局 発行の学術誌「 Journal of Physics : Conference Series」オンライン版に掲載

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京都産業大学 理学部 伊藤 豊 教授 は超電導センシング技術研究組合との共同研究において、常伝導状態の電子スピンゆらぎが、絶対零度で弱い反強磁性秩序状態に分類される状態にあることを発見した。

理学部 物理科学科の伊藤 豊 教授は、超電導センシング技術研究組合の安達研究員との共同研究で、超伝導を担うFeAs正方格子の一部のAsをPで置き換えたFe系高温超伝導体(超伝導転移温度Tc = 29 K)に対して31P核スピンの核磁気共鳴(NMR)測定をおこない、常伝導状態の電子スピンゆらぎが絶対零度で弱い反強磁性秩序状態に分類される状態にあることを発見したと発表した。

この研究成果は、英国物理学会出版局IOP Publishing発行の学術誌「Journal of Physics : Conference Series」の論文として2020年7月31日付けオンライン版に掲載された。
今回の実験結果の解析において、ワイス温度と実際のネール温度TN(反強磁性転移温度)との関係について(2+1)次元の反強磁性スピンゆらぎ模型に対するSCR理論(自己無撞着繰り込み)が適用できることを指摘した。
また、超伝導状態に関しては、スピンナイトシフトの減少からペアリング対称性がスピンシングレットであることを示し、緩和時間の温度変化からA1g対称性の可能性を示した。

むすんで、うみだす。  上賀茂・神山 京都産業大学

<関連リンク>
・鉄系超伝導体の不思議な反強磁性ゆらぎを発見
https://www.kyoto-su.ac.jp/news/20200820_150_research.html
・理学部 物理科学科 伊藤 豊 教授
https://www.kyoto-su.ac.jp/faculty/professors/sc/ito-yutaka.html
・京都産業大学 理学部
https://www.kyoto-su.ac.jp/faculty/sc/

▼本件に関する問い合わせ先

京都産業大学 広報部

住所

: 〒603-8555 京都市北区上賀茂本山

TEL

: 075-705-1411

FAX

: 075-705-1987

E-mail

kouhou-bu@star.kyoto-su.ac.jp

s01.jpg 図1 FeAs正方格子の平面図

s02.jpg 図2 Fe系超伝導体の磁気相図
縦軸は反強磁性転移温度TNと超伝導転移温度Tc、横軸は、置換元素の組成や外部圧力などの基底状態を表すパラメータに対応し、今回の研究では点線の共存領域を探求した。

s03.jpg 図3 測定された31P核スピン格子緩和時間から反強磁性ゆらぎによる成分を抜き出し、その成分に温度をかけた量(T1T) AF を絶対温度に対してプロットしたグラフ