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大阪大学が2022年度に大学院人文学研究科を新設予定※ -- 文学研究科・言語文化研究科を統合・再編 -- 時代に即した新たな人文学の追究

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※人文学研究科設置計画は現在認可申請中のため、以下の情報は今後、内容に変更が生じる場合があります。

【新研究科設立のポイント】
■社会や国際情勢が激変する時代だからこそ、新たな人文学の構築と人文学教育が必要。
■そこで文学研究科と言語文化研究科の2研究科を統合し、2022年4月1日に「人文学研究科」を新設。
■そのシナジー効果により分野横断的な取り組みを行い、複眼的な人材を養成する。そのための仕組みとして、新たに以下に取り組む。
(1)超域的な交流を可能にする人文学林(異分野融合、専攻横断、研究科共通科目、学位審査)を設置
(2)人文学と科学技術を融合させたデジタルヒューマニティーズ、企業インターンシップ など従来からの専門性を極めるため、特色をもった5専攻を設置する。

【概 要】
 2022年4月1日、大阪大学は、大学院文学研究科および言語文化研究科を統合し、5つの専攻(人文学/言語文化学/外国学/日本学/芸術学)から成り立つ「人文学研究科」を新設します。人文学の役割が変化する現代社会において、思想・歴史・文学・言語文化・社会・芸術など多領域にわたり超横断的な学びの場を提供し、国際的な相互理解を推進する研究者・高度専門職業人を育成します。
 なぜ新たな人文学を追究するのか、新研究科の特徴(デジタルヒューマニティーズなど新たな学問分野創出と多様な人材を育む仕組み:人文学林の設置)や育成する人材像は、図1をご覧ください。

【人文学研究科新設の背景・ミッション】
 文学研究科および言語文化研究科は、創設時における社会の要請に応え、相応の役割を果たしてきました。しかしながら、今日、高度なIT 基盤社会の到来、環境の危機的状況、少子化・高齢化、世界で進む分断と閉塞など社会や国際情勢が激変する中、人文学の役割も変化の時を迎えつつあると判断できます。
 新研究科では、教育体制を時代に即してバージョンアップし、文系・理系の分断を超えて、大阪大学の諸学の基礎となり、今日のグローバル社会を支えていく「新しい人文学」を構築します。具体的には、下記のようなミッションに取り組んでいきます。
(1)文学、言語、歴史、芸術、地域研究等に関わる深い人文知を継承しながら、今日的課題に果敢に挑戦し、グローバル社会で活躍できる人材を育成します。
(2)人文学を最先端の科学技術と合体させたデジタルヒューマニティーズなど、新人文学分野を開拓します。
(3)教養教育を所掌する全学教育推進機構等の学内組織と連携し、大阪大学のすべての学生に、文理の別にかかわらず社会人として必須のリベラル・アーツとしての人文学教育を開いていきます。
(4)多様なリカレント教育プログラムを導入し、高度な人文知を社会全体へと開いていきます。

【新研究科の特色:人文学林の設置】
 新研究科では、専門分野に特化し充実した教育プログラムを提供する5専攻とともに、5専攻を横断する組織として「人文学林」を設置し、(1)社学連携活動の推進、(2)社会のニーズに即応した研究プロジェクトの推進、(3)研究科共通科目の運営、(3)学位審査の統括など、専攻の垣根を超えた総合的な研究・教育を主導します。
 「人文学林」では、3つの学問分野(言語科学・コミュニケーション系/思想・時空環境系/文化表象系)と4つの地理的エリア(日本/アジア・アフリカ/アメリカ・ヨーロッパ/エリア横断)を組み合わせて12 に区分された「学術マトリックス」を設け、教員と学生を各マトリックスに配置することで、専攻横断的な交流の振興、さらにグローバル社会に対応できる新たな学問分野創出を可能にします。

【育成する人材像】
 2研究科の統合に伴う専攻再編および人文学林によるシナジー効果によって、従来からの人材(大学・研究機関所属の専門的研究者、国内外の各種民間企業など)に加え、情報観、価値観、職業観、生命観、ジェンダー観などの変化や揺らぎといった、現在の社会や国際情勢の変化に対応する多様な人材を育成します。

◆全専攻×デジタルヒューマニティーズ(DH)
 言語文化学専攻が提供するDH の講義を全専攻から自由に履修できるようにし、研究科全体でDH の手法を身につけた修士・博士人材を創出します。

◆日本学を支点として教育・研究を学際的・国際的・社学連携的に展開
 全学組織の「グローバル日本学教育研究拠点」と連携して、学際的・国際的・社学連携的な教育プログラム・研究プロジェクトを多彩に展開し、高度な発信力・実践力を備えたグローバル人材を育成します。

◆インターンシップ導入による企業との交流と新しい人文学の人材創出
 教員と学生支援室(仮称)のバックアップのもと、「人文学実務研究」と「人文学インターンシップ」の2種の研究科共通教育科目を設置し、さまざまな業種の企業との交流を活性化していきます。

【5専攻紹介】
 以下の5専攻に分かれて専門知を高めると共に、「人文学林」を通じて他専攻と共働する研究・教育を行います。

■人文学専攻 人間性の「知」に関わる総合的な研究・教育
 下記4コースからなる人文学専攻は、「人文(humanities =人間性)の知」に関する総合的な研究・教育を展開します。それぞれの学術的文脈に即した先端的かつ独自な研究・教育を継続するとともに、現代社会の諸課題に応えるための研究アプローチを積極的に取り込み、伝統的な人文知の更新を目指します。
(1)哲学コース:哲学哲学史、科学技術社会論、臨床哲学、中国哲学、インド学・仏教学
(2)グローバルヒストリー・地理学コース:グローバルヒストリー、人文地理学、歴史・地理・文化教育
(3)文学コース:テクスト表現論(英米文学、ドイツ文学、フランス文学、中国文学)、テクスト環境論
(4)比較・対照言語学コース

■言語文化学専攻 今日的な課題に幅広い観点から取り組むカリキュラム
 伝統的なディシプリンにとらわれない言語文化学コースは、3分野にわたる6講座(I:超領域文化論講座、表象文化論講座、II:コミュニケーション論講座、第二言語教育学講座、III:理論言語学・デジタルヒューマニティーズ講座、言語認知科学講座)を有し、全講座が連携しながら、新たな研究領域や研究方法論を探究し、言語と文化に関する高度の教養や情報活用能力を修得することで、今日の多文化・多言語社会における国家・民族・文化間の諸問題等に取り組みます。

■外国学専攻 24の言語とその地域について多角的・徹底的に学べるカリキュラム
 2コース(アジア・アフリカ言語文化コース、ヨーロッパ・アメリカ言語文化コース)から成る外国学専攻は、24の言語とそれを基底とする文化一般について、さまざまなディシプリンと実践にわたって総合的に教授・研究する「外国学研究」を主眼とします。
 同時に、人文社会科学諸分野のディシプリンの成果を応用しつつ、世界の諸地域の言語と文化の特徴を考察し、世界で活躍する人材を育成します。

■日本学専攻 基盤的研究と応用的展開の双方をカバーする日本最大規模の日本学専攻
 現代日本学、日本史学、考古学、日本⽂学・日本語史学、基盤日本語学の5分野から成る「基盤日本学コース」と、比較日本学、応用日本語学、日本語教育学の3分野から成る「応用日本学コース」の2コースを擁する日本学専攻は、日本の言語・文化・社会・歴史・文学などを厳密に学問的な方法に基づいて深く探究するとともに、その専門的知見に基づいて日本の抱える今日的課題に果敢に取り組むことのできる人材を育成します。
 さらに、比較や交流の観点から日本を世界的視野のうちに捉え、日本語・日本文化についての幅広い知見を基礎としてグローバルに活躍できる実践力・応用力を養います。

■芸術学専攻 基礎と社会的実践の両方に立脚、国立総合大学最大の芸術学の専攻
 4 コース(アート・メディア論コース、美学・文芸学コース、音楽学・演劇学コース、日本東洋美術史・西洋美術史コース)から成る芸術学専攻では、他の何ものによっても代替不可能な営みである芸術を全国的にも類を見ない規模で捉え、専門的・先端的かつ学際的な厚みと多様性を備えた研究・教育活動を行います。
 これにより、現代社会の諸システムの制約や限界を超え出る可能性・構想力を持った人材を育成します。

【入試情報】
 人文学研究科では、多様な人材を受け入れるため、下記の通り入試を予定しています。

●博士前期課程においては、全ての専攻で年2回の入試を実施(2022年度入試は秋季・冬季の予定、日本学専攻応用日本学コースは冬季1回のみ)。
●博士後期課程においては、全ての専攻で年1回の入試を実施。
●言語文化学専攻以外の4専攻にて、一般選抜、社会人選抜、外国人留学生選抜の3方式を採用(外国学専攻の博士後期課程は除く)。
●外国人留学生の10 月からの入学を受け入れ(日本学専攻応用日本学コース)。※
●入試日程は下記の専攻群ごとに異なる場合があります。
 →人文学専攻/芸術学専攻/日本学専攻基盤日本学コース
 →言語文化学専攻
 →外国学専攻/日本学専攻応用日本学コース
●入学定員:博士前期課程161名、博士後期課程65名

*入試情報の詳細は追ってホームページ等で公開する予定です。
 https://www.hmt.osaka-u.ac.jp/

※外国人留学生の2021年10月受け入れの詳細は、言語文化研究科日本語・日本文化専攻にお問い合わせください。
 http://www1.lang.osaka-u.ac.jp/jc/

▼本件に関する問い合わせ先
 大阪大学大学院文学研究科
 専門職員(文学研究科・言語文化研究科統合再編担当)
 西ノ上 和彦(NISHINOUE KAZUHIKO)
 TEL: 06-6850-6394(内線2106)
 FAX: 06-6850-5091
 E-mail: nishinoue-k@office.osaka-u.ac.jp

【お詫び】人文学研究科設置計画は現在認可申請中のため、今後内容に変更が生じる場合があります。本リリース配信時に、同注釈が欠落しておりました。お詫びして訂正いたします。(2021/05/28 11:00 大学プレスセンター)

0423oosaka1.jpg 図1:新分野創出と多様な人材育成を可能とする人文学林を設置

0423oosaka2.jpg 図2

0423oosaka3.jpg (参考情報)新研究科における課程、入学定員、学位について