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【京都産業大学】近赤外線波長における原子吸収線カタログを作成し、恒星の元素組成を高精度に測定

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京都産業大学 神山天文台、東京大学らの研究グループは、2つの赤色巨星(「アークトゥルス(うしかい座α星)」と「しし座μ星」)について得られた高精度なスペクトルから、近赤外線波長域における元素組成解析に適用できるさまざまな原子の吸収線カタログを作成した。

2つの赤色巨星の観測は京都産業大学神山天文台の荒木望遠鏡(口径1.3m)に「近赤外線高分散分光器WINERED(ワインレッド)」を搭載し行われた。WINERED(ワインレッド)の特徴である非常に高い感度と波長分解能により、多くの微弱な吸収線まで観測が可能になったことから、恒星の元素組成の測定に実用的な吸収線を従来よりも多く、かつ精度良く同定することができた。
今回確立した手法は様々な天体に適用することができ、特に可視光では観測が難しいガスや塵の多い銀河系中心方向の領域に存在する恒星の元素組成の解析が可能になり、銀河系の化学進化に関する新たな知見がもたらされると期待される。

むすんで、うみだす。  上賀茂・神山 京都産業大学

<関連リンク>
・近赤外線波長における原子吸収線カタログを作成し、恒星の元素組成を高精度に測定
https://www.kyoto-su.ac.jp/news/20210526_859_winered.html
・京都産業大学 神山天文台
https://www.kyoto-su.ac.jp/observatory/

▼本件に関する問い合わせ先

京都産業大学 広報部

住所

: 〒603-8555 京都市北区上賀茂本山

TEL

: 075-705-1411

FAX

: 075-705-1987

E-mail

kouhou-bu@star.kyoto-su.ac.jp

fig1.jpg 図1:アークトゥルス(うしかい座α星)のスペクトルから同定した7種の元素のイメージ図。これらの元素の吸収線強度から、恒星の元素組成を測定できる。図上部の元素表の赤色が今回同定した元素を示し、その他のピンク色は非金属、緑色は軽金属、青色は重金属元素である。
(クレジット:福江 慧氏/Greg Parker氏)

fig2.jpg 図2:様々な恒星のカラースペクトル(下から6番目、7番目が今回観測したK型星のスペクトル)。スペクトル中の黒い縦線(吸収線)は、それぞれ各種原子あるいは分子による光の吸収を示している。スペクトルは温度系列の順番に並んでおり(上ほど高温、下ほど低温の恒星)、恒星により最も明るい色や吸収線の位置や強度が異なることがわかる。
(クレジット:KPNO 0.9-m Telescope, AURA, NOAO, NSF)

fig3.jpg 図3:WINEREDで観測された近赤外線高分散スペクトルの一部。各枠の上が「アークトゥルス(うしかい座α星)」、下が「しし座μ星」のスペクトルを示す。非常に微弱な吸収線も検出できていることが確認できる。
(クレジット:福江 慧氏)

fig4.jpg 図4.荒木望遠鏡に搭載した近赤外線高分散分光器WINERED(2016年1月撮影)。
(クレジット:京都産業大学)