弘前大学

【弘前大学】簡便で高感度な感染性新型コロナウイルス検出法を新たに開発

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弘前大学(青森県弘前市)農学生命科学部分子生命科学科の森田英嗣准教授らの研究グループは、今までの検査方法よりも簡便かつ高感度で迅速に感染性ウイルスを検出することができるシステムを新規開発した。このシステムは、ウイルスの蛋白質分解酵素「3CLpro」を改変した「FlipNanoLuc」を使用することで実現したもの。この研究成果は、2023年1月31日に英国の科学誌「Scientific Reports」に公表された。

【本件の概要】
 抗ウイルス薬剤や抗ウイルス活性物質の効果の検証は、実際に感染性があるウイルスについて調べる必要があり、PCR検査や抗原検査ではなく、感染した細胞を検出するプラークアッセイと呼ばれる方法が用いられている。この方法は数日の時間を要し、かつ熟練の技術員による作業が必要とされている。今回、これに代わる方法として、感染性ウイルスを簡便かつ迅速に、そして高感度で検出する画期的な方法を新たに開発することに成功した。

 新型コロナウイルスは、感染すると自身の遺伝子にコードされている蛋白質分解酵素3CLproを活性化させ、新たなウイルスを作るために必要な材料を調製する。
 今回、弘前大学農学生命科学部の森田英嗣准教授のグループは、大阪大学との共同研究で、この3CLproの働きによって活性化されるルシフェラーゼを改変したプロテアーゼセンサー「FlipNanoLuc」を世界に先駆けて開発することに成功。FlipNanoLucは、特異的基質の添加により発光することから、実際にウイルスが細胞に感染したかどうかを発光測定によって高感度に検出できることを証明した。

 このシステムを利用することにより、抗ウイルス活性物質の短時間での評価が可能になり、膨大な数のサンプル処理を必要とする抗ウイルス薬の開発や予防ワクチンの開発に貢献できると期待される。また、新型コロナウイルスに限らず多くのウイルスは独自の蛋白質分解酵素を持つことから、今後出現する新たなウイルスの検出にも応用できる技術として期待される。

 本研究成果は、2023年1月31日に英国電子版科学誌「Scientific Reports」に公表された。

▼本件に関する問い合わせ先

弘前大学農学生命科学部分子生命科学科

森田 英嗣准教授

住所

: 青森県弘前市文京町3番地

TEL

: 0172-39-3586

E-mail

moritae@hirosaki-u.ac.jp

press20230213_figure.jpg 新型コロナウイルスが感染すると発光する仕組み