弘前大学

弘前大学の学生・役員・教職員らがパラオ共和国を訪問、太平洋戦争の激戦地となった同国で平和の大切さを学ぶ ― 創立80周年記念先行事業・第2回派遣

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弘前大学(青森県弘前市/学長:福田眞作)では9月8~14日にかけて、学生・役員・教職員をパラオ共和国に派遣しました。この取り組みは、同大の「教養教育海外派遣プロジェクト」の一環で、今回は昨年度に続く第2回本隊派遣となるもの。太平洋戦争末期に激戦地となったパラオで戦争の悲惨さや平和の大切さを学ぶとともに、異文化に触れ多様な価値観を理解することを目的としています。同大の曽我亨研究担当理事(副学長)と医学部附属病院高度救命救急センターの花田裕之センター長、教職員らと学生10名が同国を訪問し、病院等の施設やペリリュー島の戦跡を訪れるとともに、パラオコミュニティカレッジ(PCC)では現地の学生との交流等を行いました。

 パラオ共和国は多くの島々から構成される、ミクロネシア地域の共和制国家。日本の真南、フィリピンの東方にあり、赤道近くに位置しています。
 第一次世界大戦後に日本の委任統治領となり、太平洋戦争では日本とアメリカの激戦地となりました。終戦後は国連の信託統治地域としてアメリカの施政下に置かれ、1994年に独立。同年に国連にも加盟しています。

 弘前大学では創立80周年記念先行事業として、今年2月に学生・役員・教職員を同国に派遣。今回は同派遣事業の第2回目となります。
 一行はまず、在パラオ日本国大使館を訪問。折笠弘維大使から両国の歴史的な背景や「トクベツ」(※パラオ語には日本統治時代の影響で、トクベツのほか、「ダイジョブ」「ゴメン」「オキャク」など、日本語由来の言葉が約1200語以上あるとされています)な関係、現在のパラオを取り巻く国際情勢などについて話がありました。
 最初の訪問先のため少し緊張が感じられた学生達でしたが、後半には各々が積極的に大使へ質問するなど、終始和やかな雰囲気の中で、パラオに関する理解を深めることができました。

 続いて訪れたベラウ国立病院では、まず院内の案内とともに、診療設備や日本から支援された医療機器などについての説明を受けました。その後、副大統領も交えた懇談の場では、医学部の学生を中心にすべての学生が英語で質問を行い、島国ゆえの遠隔医療の取組みや肥満率が高いとされるパラオの食生活などさまざまな観点で意見交換を実施。参加者一同多くの学びが得られた、非常に有意義な時間となりました。

 かつての激戦地ペリリュー島では、現地日本人ガイドから説明を受けながら、千人洞窟や海軍司令部跡、平和記念公園やオレンジビーチ、滑走路付近などを訪れました。爆撃を受けた建物や壁に残る弾痕、破壊され錆び付いた戦車、激しく損傷した兵士の所持品などを各所で目の当たりにし、学生らは戦争の悲惨さを強く感じました。また、戦没者慰霊碑の前では全員で黙祷を行い、線香を手向け、平和への思いを共有しました。多くの戦跡を巡りながら当時の状況を理解し、平和について考える、意義深い機会となりました。

 パラオ唯一の高等教育機関、パラオコミュニティカレッジ(PCC)では、まず関係者と面会し、両大学の概要説明を行い、弘前大学の学生の質問にPCCから回答。その後、PCCの学生ガイドによるキャンパスツアーでは、溶接を学ぶ作業場や農学の研究室、図書館や寮など、さまざまな施設を案内され、日本とは異なる教育環境に触れました。
 学生同士の交流の時間には、ランチをともにしながら、弘前のことや進路のこと、今回の旅で訪れた各訪問先のことなどが話題にのぼりました。英語に自信がなかった学生もコミュニケーションの楽しさを感じ、英語学習のモチベーションの高まりが見受けられました。同世代の学生同士、貴重な国際交流・異文化理解の機会になりました。

 パラオ共和国において参加者が感じた戦争の悲惨さと平和の尊さは、一人ひとりが語り継いでいくことが大切です。そして、その平和をどのように築いていくのかをこれからも考え続けていかなければなりません。
 このプロジェクトを通じて、異なる国の言語や文化、価値観に触れ、歴史や医療、産業など多様な分野への理解を深めた経験が、参加者にとって国際感覚を養い、平和について考え行動するきっかけになることが期待されます。

 弘前大学ではこのような機会を大切にし、国際交流と平和教育に努めると共に、教育・研究の更なる発展に寄与していきます。なお、このプロジェクトは、2027(令和9)年度まで計4回のパラオ共和国への派遣を予定しています。


■弘前大学 教養教育海外派遣プロジェクト〔第2回本隊派遣〕概要
・派遣国:パラオ共和国
・派遣時期:2025年9月8日(月)~9月14日(日)※航空機トラブルのため1日延長
・派遣者:学生10名(人文社会科学部1、教育学部2、医学部医学科2、医学部保健学科2、医学部心理支援科学科1、理工学部1、農学生命科学部1)、曽我亨理事(研究担当)、花田裕之医学部附属病院高度救命救急センター長、教職員等5名

(参考リンク)
●在パラオ日本国大使館ホームページ
 https://www.palau.emb-japan.go.jp/itprtop_ja/index.html
・弘前大学の学生訪問
 https://www.palau.emb-japan.go.jp/itpr_ja/11_000001_02152.html

●弘前大学創立80周年記念事業特設ページ
 https://www.hirosaki-u.ac.jp/80th/
・第1回派遣について
 https://www.hirosaki-u.ac.jp/topics/101110/

・第2回派遣について
 https://www.hirosaki-u.ac.jp/topics/107581/

●大学プレスセンター掲載記事
・第1回派遣について
 https://www.u-presscenter.jp/article/post-55726.html

▼本件に関する問い合わせ先

弘前大学

住所

: 青森県弘前市文京町1番地

TEL

: 0172-39-3012

FAX

: 0172-37-6594

20251020_topics_palau_01.jpg 折笠弘維大使と弘前大学参加者

20251020_topics_palau_02.jpg ベラウ国立病院関係者と弘前大学参加者、弘前大学から病院側に聴診器等を寄贈

20251020_topics_palau_05.jpg ベラウ国立病院内視察の様子

20251020_topics_palau_07.jpg 天皇皇后両陛下(現上皇上皇后陛下)も訪問された平和記念公園

20251020_topics_palau_09.jpg 爆撃や銃撃の痕跡が残る海軍司令部跡

20251020_topics_palau_10.jpg 戦没者慰霊碑(みたま)で線香を手向ける学生

20251020_topics_palau_12.jpg 旧日本軍の戦車

20251020_topics_palau_17.jpg 「鎮魂の碑」の前で

20251020_topics_palau_18.JPG パラオコミュニティカレッジ関係者と弘前大学参加者

20251020_topics_palau_19.jpg パラオコミュニティカレッジのキャンパスツアーの様子

20251020_topics_palau_23.jpg 学生同士の交流風景

20251020_topics_palau_27.jpg 日本・パラオ友好の橋