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中央大学理工学部の小松晃之教授らのグループが、酸素を輸送できるタンパク質クラスターの合成に成功――人工酸素運搬体としての臨床応用に期待

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中央大学理工学部の小松晃之教授らの研究グループはこのたび、酸素を輸送できるタンパク質クラスターの合成に成功した。今後、人工酸素運搬体(赤血球代替物)としての臨床応用が期待される。なお、この研究成果は、米国化学会誌『Biomacromolecules』に「Just Accepted Manuscript」としてオンライン公開(2013年4月29日付)された。

 輸血液の代替物となる人工酸素運搬体(赤血球代替物)の実現は、次世代医療における最重要課題であり、これまでさまざまな製剤が開発されてきたが、副作用(血圧上昇)や有効性に問題があったため、未だ実用化には至っていなかった。

 こうした中、中央大学理工学部の小松晃之教授らの研究グループは、ヘモグロビンに血清タンパク質であるアルブミンを結合させた構造明確な(ヘモグロビン-アルブミン)クラスターを開発。その立体構造の詳細を明らかにするとともに、得られた製剤が生理条件下(pH 7.4, 37℃)で酸素を安定して輸送できることを実証した。これは、製造が簡便で、副作用がなく、臨床応用可能な人工酸素運搬体として注目を集めている。

 今後は赤血球代替物(出血ショックの蘇生液、術中出血時の補充液、救急車内での酸素供給液)としての用途をはじめ、心不全・脳梗塞・呼吸不全などによる虚血部位への酸素供給液、移植用臓器の灌流液や保存液、人工心肺など体外循環回路の補填液、癌治療用増感剤、再生組織への酸素供給液などとしても大きな期待が寄せられている。

 なお、この研究成果は、米国化学会誌『Biomacromolecules』に「Just Accepted Manuscript」としてオンライン公開(2013年4月29日付)された。

【研究者】 小松晃之 中央大学理工学部 教授(応用化学科)
【発表雑誌】 米国化学会誌 Biomacromolecules 2013, 14, in press
【題目】Covalent Core–Shell Architecture of Hemoglobin and Human Serum Albumin as an Artificial O2 Carrier (DOI: 10.1021/bm400204y)

▼本件に関する問い合わせ先
 中央大学 研究支援室
 加藤 裕幹(カトウ ユウキ)
 TEL: 03-3817-1603
 FAX:  03-3817-1677
 E-mail:  k-shien@tamajs.chuo-u.ac.jp