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中央大学研究開発機構の研究グループが、赤ちゃんのヒトの目への脳反応を世界で初めて解明――11月27日に記者発表

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中央大学研究開発機構の市川寛子機構助教、山口真美教授らの研究グループはこのたび、乳児のヒトの目への脳反応を世界で初めて解明した。この研究では、赤ちゃんがヒトの顔を認識するためには、白目および黒目の正常なコントラストが必要であることが判明。「ヒト特有の目」を手がかりとした顔処理が、赤ちゃんの脳内で行われる神経基盤を明らかにした世界で初めての研究となる。11月27日(水)にはこの研究結果について記者発表を行う。

 同研究グループは、これまで近赤外分光法(NIRS)を用いて、生後5~8ヶ月の乳児の顔認知の機能について調査を行っており(Otsuka et al., 2007; Nakato et al., 2009; Honda et al., 2010; Ichikawa et al., 2010; Nakato et al., 2011a ; Nakato et al., 2011b)、生後1年未満の乳児の顔認知能力の発達を解明してきた。

 今回の研究では、乳児は“ヒト特有の目”をもつ顔だけを“顔”として認識していることを明らかにした。
 ヒトの目特有の“白い強膜に暗い虹彩(白目と黒目)”という明暗関係は、それを反転させた途端に奇妙な印象を与え、著名人の顔さえ同定が困難になることが知られている。
 こうしたことを踏まえ、白目と黒目のコントラストを保った正常の目と、白と黒を反転させた目をもつ顔を生後5~6ヶ月児に見せたところ、正常の目のときは顔処理に特有の右半球優位の活動が示されたのに対し、反転目のときはこうした脳活動の上昇が見られなかった。
 これは、ヒトの目に特有の白目と黒目のコントラストを手がかりに顔を認識する能力が生後5~6ヶ月頃に発達し、さらに白黒が反転した目は顔として認識しなかったことを示唆する結果である。大人と同様に、赤ちゃんも白と黒が反転した、宇宙人やバンパイアのような目の奇妙さ(Anstis, 2005)に気づいた可能性がある。
 今回の研究は、ヒト特有の目のコントラストを手がかりとした顔処理が赤ちゃんの脳内で行われる神経基盤を明らかにした世界で初めての研究である。

◆プレス発表会概要
【日 時】2013年11月27日(水) 11時00分~12時00分
【場 所】中央大学後楽園キャンパス 3号館9階3907号室
【担当者】
 市川寛子 日本学術振興会 特別研究員、中央大学研究開発機構 機構助教
 山口真美 中央大学研究開発機構、文学部 教授
 金沢創 日本女子大学人間社会学科 教授
【内 容】
●中央大学、自然科学研究機構生理学研究所の共同研究「近赤外分光法(near-infrared spectroscopy; NIRS)による、ヒト特有の目をもつ顔観察時の乳児の脳活動について」に関する研究成果の発表
●“Contrast reversal of the eyes impairs infants’ face processing: A near-infrared spectroscopic study.” Neuropsychologia誌11月号に掲載の発表について

▼本件に関する問い合わせ先
 中央大学大学 研究支援室
 TEL: 03-3817-1603
 FAX: 03-3817-1677(加藤)
 E-mail: k-shien@tamajs.chuo-u.ac.jp