芝浦工業大学

変風量コアンダ空調システムを実現する"Air-Soarer" を共同開発~省エネルギーと建設コスト低減の両立~芝浦工業大学

大学ニュース  /  産官学連携

  • ★Facebook
  • ★Twitter
  • ★Google+
  • ★Hatena::Bookmark

芝浦工業大学(東京都港区/学長 村上雅人)建築学部秋元孝之教授は、株式会社三菱地所設計、新菱冷熱工業株式会社、協立エアテック株式会社と、自律式風速一定器具「Air-Soarer」(商標登録出願中)を共同開発した。
“Air-Soarer””は、空調機の吹き出し風量の増減に応じて自律的に開閉具合を調整することで、一定の吹き出し風速の維持を可能とした。
“Air-Soarer””を利用した変風量コアンダ空調システム(特許第6453951号取得済み)は、階高を抑えて建設コストの低減を図るだけでなく、省エネルギー及び快適性を実現する。

【開発の背景】
"Air-Soarer""は、東京都千代田区で建設中の中規模事務所ビルにおけるZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)実現のため、企画構想段階から設計・施工・学術・メーカーの4者が産学連携して汎用性のある新技術として開発した。
竣工前のシミュレーションや実物大実験結果のフィードバックにより機能向上を図るとともに、竣工後の実測を基に運用是正を行いながら、さらなる省エネルギーを目指す。

【Air-Soarerの特長】
(1)ダクトレス:空調ダクト分の階高を抑え、壁面の吹き出し口より室全体を空調する。
(2)コアンダ効果の活用※1:吹出空気を天井面に這わせることで、気流の落下を抑制し、室奥まで空調空気を到達させることができる。
※1 コアンダ効果とは気体や液体の噴流の軌道が、近くの壁面に吸い寄せられる現象。
(3)風速一定吹出口:コアンダ効果の有効活用には、到達距離を確保するため定風量が一般的で、"Air-Soarer""では、風量を減らしても吹出風速を一定に維持する器具を用いるため、省エネルギー化が見込める変風量制御※2が併用できる。
※2 熱負荷に応じて風量を小さくするとファン動力が大幅に削減される。

【Air-Soarerの適用について】
"Air-Soarer""は、事務室での採用を想定して検証実験を繰り返して開発したが、大規模空間への適用も効果的と考えられる。今後、意匠性の向上を図りつつ、様々な用途・空間で一層設計のバリエーションが広がることが期待される。

【Air-Soarer開発における各社の役割】
■三菱地所設計:設計者
・システムの考案
・製作、検証全体のオーガナイザー
■新菱冷熱工業:施工者
・CFD(気流解析)による効果予測
・新菱冷熱中央研究所にて効果検証
・実物件へ導入後のコミッショニング
■芝浦工業大学:建築環境設備研究室
・被験者実験による熱的快適性の検証
・知的生産性、省エネルギーの評価
■協立エアテック:空調設備機器メーカー
・器具の開発、改良
・実機製作、挙動の調整

▼本件に関する問い合わせ先
 芝浦工業大学 経営企画部企画広報課 担当:柴田
〒108-8548 東京都港区芝浦3-9-14
 TEL: 03-6722-2900
 FAX: 03-6722-2901
  E-mail: koho@ow.shibaura-it.ac.jp

Part1_1.jpg 【Air-Soarerの特長】(1)ダクトレス

Part2_2.jpg 【Air-Soarerの特長】(2)コアンダ効果の活用

Part3_1.jpg 【Air-Soarerの特長】(3)風速一定吹出口