甲南大学

甲南大生が行動経済学で地域の交通安全を守る! 地元警察署との連携プロジェクトの最終発表会を実施しました

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甲南大学マネジメント創造学部(兵庫県西宮市/愛称 CUBE)は、経済学と経営学を学び、徹底した探究型学習とフィールドワークを実施しています。このたび、マネジメント創造学部と兵庫県西宮警察署は、「安全な交通社会の実現」をテーマに、学生が行動経済学の視点から課題解決策を提案する実践型プロジェクトを進めてきました。参加学生29名は、全45回の授業と中間報告会を経て、7月11日(金)に最終発表を行いました。

◆プロジェクト発足の経緯
 今回のプロジェクトは昨年、西宮警察署が交通安全の啓発活動で西宮キャンパスを訪れたことがきっかけです。警察署管内における交通安全の課題を、マネジメント創造学部 木成勇介教授が専門とする行動経済学※ を活用することで解決に結びつくのではないか、という着想から連携プロジェクトが始まりました。

※ 人は必ずしも合理的ではないと捉えることによって、さまざまな社会問題のメカニズムを解明し、問題解決につなげようとする学問

◆西宮警察署が挙げる交通安全の課題
 課題1 横断歩道合図(アイズ)運動※ の広報啓発
 課題2 大学生を含む若者世代への広報啓発活動
 課題3 自転車ルールの啓発に関する広報活動

※ 信号機のない横断歩道において、歩行者・ドライバーの両方が手を挙げるとともに、目でアイコンタクトなどを行う運動

 これらの課題に対し、計6チームが課題解決に向けた提案を検討いたしました。学生たちは、先行研究や、キャンパス内で対策案の効果検証を行い、さらに5月に行われた中間報告会で西宮警察署からの助言をもとに内容を練り上げ、最終発表に臨みました。

◆行動経済学 × 西宮警察署 交通安全プロジェクト最終発表
 当日は仁科年正署長をはじめ、甲南学園 長坂悦敬理事長、西宮市役所交通安全対策課、交通安全に関わる企業・団体などから30名を超える参加者がありました。木成教授からプロジェクトの趣旨と行動経済学について説明されたのち、学生が発表を行いました。

・日時:7月11日(金)14時 ~ 17時
・会場:甲南大学西宮キャンパス
・提案内容:
○課題1  横断歩道合図(アイズ)運動の広報啓発
・「見えなかったから止まれないを 見えたから止まれたへ」
 運転手が歩行者優先の意識が足りていないという過去の調査結果から、横断歩道にアニメーションを使用したライトアップ掲示板を設置する提案
・「トリックアートを横断歩道に」
 車の一時停止率を高めるために、運転手が歩行者に気づく工夫として、錯視と人の目を組み合わせ、見られている意識を高めた立体的横断歩道を設置する提案

○課題2 大学生を含む若者世代への広報啓発活動
・「体験型学習(体験ゲームによる広報)」
 交通安全意識を高めるためには、体験要素を加えて、自ら考えてもらうことが大切という視点から、交通安全謎解きゲーム(倒れたおじいさんの原因を追え!)の提案
・「STOP!LOOK!GO!ミラーポイントプロジェクト」
 「伝える」から「響かせる」への発想の転換を行い、事故が多発しているポイント等に、交通安全につながる行動が装飾された鏡を設置して、行動変容を促す提案

○課題3 自転車ルールの啓発に関する広報活動
・「だめです。ではなく 恥ずかしいからやめよう。に!」
 交通事故原因の一つである「ながら運転」は恥ずかしい、損であるという印象与えるため、「100文字で綴る 私たちのもしもの後悔コンテスト」を提案
・「シェアサイクルから広げるヘルメット」
 自転車ヘルメットの着用率を高めるためには、行動経済学における同調効果を活用することが有効と考え、効果を生み出すためには一定数が着用している必要があることから、シェアサイクル利用時にヘルメットを貸出する提案

 すべての提案が発表されたのち、仁科署長より「交通事故を抑止するためには、交通安全の意識を高める、自分事として考えることが大事であると考えています。本日の提案は安全意識を高める提案が多くありました。さらに、反復して意識を高める提案や、安全意識の高くない人に向けた提案もあり、勉強になりました。実際には規制や基準にのっとるだけではなく、関係各所との調整が必要になりますが、実現可能な提案は実施していきたいです。マネジメント創造学部の皆さんには、今回の交通安全に関する調査を通じて、安全への意識を一層高めていただけたのではないかと思います。その意識が日々の行動として表れ、周りの人々にも良い同調効果が生み出されることを期待しています。」との講評をいただきました。

 また、7月18日(金)にJR西宮駅前の商業施設にて開催される、陸と海の安全 「夏まつり」2025セカンドにて、マネジメント創造学部の学生が今回のプロジェクトにおける交通安全対策アイデアを発表いたします。

◆陸と海の安全「夏まつり」2025セカンド
 日時:7月18日(金)15時 ~ 17時
 会場:フレンテ西宮 1階 西正面広場(JR西宮駅南側すぐ)

 詳細はチラシをご覧ください。

◆甲南大学マネジメント創造学部
 2009年4月開設。国際情勢や社会構造、経済、技術など、日々のめまぐるしい変化に備えるため、経済と経営を中心とした実践的な学びで、「自ら学び、共に学ぶ力」や「自ら考え行動する力」を強化。グローバル社会で必要となる語学力も高めながら、物事をやリ抜く力、マネジメント能力を磨きます。


▼本件に関する問い合わせ先

甲南学園広報部

住所

: 兵庫県神戸市東灘区岡本8-9-1

TEL

: 0784352314

E-mail

kouhou@adm.konan-u.ac.jp

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1.jpg 仁科年正 署長

2.jpg 学生からの発表に先立ち、マネジメント創造学部 木成教授からプロジェクトの趣旨説明等が行われた

5.jpg 交通安全に関わる企業・団体から多くの参加者があった

4.jpg 立体的横断歩道の提案

60.jpg 謎解きゲームで若年世代へ交通安全を啓発する提案

59.jpg 提案された交通安全謎解きゲーム。イラストは生成AIを用いて作成された

70.jpg 広報啓発に繋がるポスターと動画も提案された