【ニュース特集】宇宙の謎から食、睡眠まで ~先端研究が拓く未来の世界(26年1~2月のアクセスランキング30)
日本大(東京都千代田区)文理学部物理学科の玉岡幸太郎准教授と、米子工業高等専門学校(鳥取県米子市)総合工学科の姉川尊徳助教の研究チームは、ブラックホール内部を記述する量子状態が「絶対最大量子もつれ状態」で表されることを理論的に明らかにした(1位)。
ブラックホール内部の構造を理解することは、現代物理学における重要な未解決問題の一つとなっている。近年では、宇宙やブラックホールをミクロな物質(量子ビット)の集合として理解する考え方が進んでいるが、今回の研究ではブラックホールの内部に存在する特定の断面に注目し、その断面に対応する量子ビットの構造を理論的に解析した。その結果、ブラックホールの内部は、空間のどの部分を切り出しても、残りの全体と最大限に強く結びつく、「究極にもつれた情報の集まり」となっていることが示された。
今回の研究成果について、玉岡准教授は「ブラックホール内部を理解することは、私たちの宇宙がどのように始まったのかを考えるうえでも重要だと理論的に期待されています。今回の研究が、その手がかりの一つになることを期待しています」と語っている。
(https://www.u-presscenter.jp/article/120145)


化学的なアプローチで人類を飢餓から救う研究も注目を集めた。
東洋大(東京都文京区)生命科学部の廣津直樹教授、食環境科学部の加藤悦子教授、大学院生命科学研究科博士後期課程の赤羽根健生さん(現・理化学研究所特別研究員)らの研究グループは、穀物に含まれるミネラルの吸収を妨げる物質「フィチン酸」を化学的に低減させる手法を世界で初めて開発した。世界的な栄養改善への貢献が期待される(3位)。
フィチン酸はイネやコムギなどの穀物種子に多く含まれ、リンを貯蔵する一方、鉄や亜鉛などのミネラルに結合してヒトの吸収を妨げるため、「隠れた飢餓」の要因の一つとされる。従来の低フィチン酸化の研究では遺伝子改変による方法が試みられてきたが、発芽率や収量の低下といった課題があり、実用化が難しかった。
研究グループはフィチン酸生合成の初期段階を担う酵素に着目し、医薬品開発で用いられるフラグメントベース創薬の手法を応用。1000種類以上の化合物をスクリーニングし、同酵素を選択的に阻害する複数の化合物を発見した。これらをイネやコムギの穂に処理したところ、種子中のフィチン酸含量を約30~40%低減させることに成功。発芽率や収量への影響も見られなかった。
同研究は、創薬技術を植物科学に応用したケミカルバイオロジー型農業研究の先駆例とされ、今後は栄養価向上や持続可能な農業への応用が期待される。
(https://www.u-presscenter.jp/article/120373)

不眠症などに悩む現代人が多い中、睡眠に関する研究も重要だ。
名古屋大(名古屋市)環境医学研究所の小野大輔講師、竹本さやか教授、上田修平助教らの研究グループは、新しい環境で眠りにくくなる理由について、神経活動が活発化する脳領域を同定し、覚醒をもたらす神経の仕組みを解明した(24位)。
動物や人は初めての場所に置かれると覚醒度が高まり、周囲を注意深く観察することが知られている。ホテルに宿泊した初日の夜に眠りが浅くなる「初日効果」はその一例だ。これは覚醒を維持することで環境の安全性を確認する適応行動の一つと考えられているが、脳が環境の新しさをどのように検知し、覚醒維持に結びつけているのかは未解明のままだった。
研究グループは脳の拡張扁桃体に注目し、この領域の神経が新奇環境下での持続的な覚醒を支える重要な役割を果たしていることを発見。特に、これらの神経が神経ペプチドの一種であるニューロテンシンを介して中脳の黒質網様部に情報を伝えることが、新規環境下での覚醒維持に重要であることを示した。
同研究は、不眠症やストレス関連睡眠障害など、過覚醒が関与する病態に新たな視点を提供するもので、睡眠障害などの新たな治療法開発への応用が期待される。
(https://www.u-presscenter.jp/article/120328)

■大学プレスセンター ニュースアクセスランキング(2026年1月21日~2月20日)
[1]日本大学(東京) ブラックホール内部を記述する量子状態を同大らの研究グループが理論的に発見。(1/30)
[2]聖心女子大学(東京) 故・冨原眞弓名誉教授が 『トーヴェ・ヤンソン ― ムーミン谷の、その彼方へ』で第77回読売文学賞(「評論・伝記」部門)を受賞。ムーミンをめぐる謎を、ヤンソンの生涯を通して考察。(2/1)
[3]東洋大学(東京) イネや小麦に含まれ、隠れた飢餓の一因とされるフィチン酸を化学的に低減させる手法を開発。(2/4)
[4]昭和医科大学(東京) 2025年度昭和上條医療賞・奨励賞の受賞者を発表。地域保健医療に貢献した個人や団体を顕彰。(1/29)
[5]実践女子大学(東京) 学生が企画したオリジナル弁当5種が3月3日まで「いなげや」127店舗で期間限定販売。(1/28)
[6]日本大学(東京) 生理や体調に悩む女性アスリートを支えるシンポを同大SDGs研究プロジェクトが2月に開催。(1/31)
[7]実践女子大学(東京) ポッドキャスト番組「JJトーク~女子大生の『ありのまま』の日常~」を開設。第一弾として、3月から同大初の「耳で体験するオープンキャンパス」プロジェクトが始動。(2/10)
[8]東京工芸大学(東京) 芸術学部ゲーム学科4年の松浦恵夢さんの『SELECT』が「神ゲー創造主エボリューション2025」(主催:NHKエンタープライズ)で神ゲー大賞(グランプリ)と時田貴司賞をダブル受賞。(2/20)
[9]日本大学(東京) 同大発ベンチャー「LINEAイノベーション」(東京都千代田区、代表取締役CEO:野尻悠太)が、世界的な経済誌の日本版『Forbes JAPAN』発表の「日本発スタートアップ100選』に選定。(1/28)
[10]大阪産業大学(大阪) スポーツ健康学部OGの中尾春香選手がミラノ・コルティナ2026冬季五輪日本代表に選出。(2/9)
[11]神戸女学院大学(兵庫) 2025年「大学ランキング」(調査:大学通信)の「小規模だが評価できる大学」で近畿私大第2位、「面倒見が良い大学」同第3位・近畿女子大第1位など、複数の項目で上位にランクイン。(2/13)
[12]東京都市大学(東京) 都市生活学部のユニバーサルデザイン研究室(西山敏樹教授)が、開通100周年を迎えた東急世田谷線で1月に「ファミリーミュージックトレイン」を運行。路面電車と音楽の相乗効果で地域活性化を探る。(1/30)
[13]大妻女子大学(東京) 同大発のファッションブランド「m_r tokyo」が東京真珠とコラボ。循環型ファッションの思想を反映させたパールジュエリーを学生らが考案し、同社の銀座本店およびオンラインショップで発売中。(1/23)
[14]多摩大学(東京) 卒業生で、同大スキークラブ所属の冨髙日向子選手がミラノ・コルティナ2026冬季五輪日本代表に選出。(1/27)
[15]昭和医科大学(東京) 更年期症状など健康問題についての職場での「話しやすさ」と仕事の生産性が関連していることを、医学部の有馬牧子准教授らの研究グループが解明。40~60歳の就労女性を対象とした大規模調査で検証。(2/16)
[16]千葉商科大学(千葉) サービス創造学部の藤本耕平ゼミナールが『若者白書』第1弾「若者とSNS」を公開。若者のSNSの利用傾向を6つのタイプに分類し、その特徴と企業に向けたコミュニケーション戦略のヒントをまとめた。(1/21)
[17]千葉工業大学(千葉) OpenAI社と契約を締結し、昨年末より専任教職員・研究員を対象に「ChatGPT Edu」の提供を開始。学生一人ひとりに最適化された対話型教育支援を実現する「AI大学講師」の取り組みも進める。(1/28)
[18]明海大学(千葉) 全額を大学が負担する、全新入生対象の初年次海外研修プログラム「グアム研修」を産学連携で始動。(2/16)
[19]東京工芸大学(東京) 「芸術学部卒業・大学院修了制作展2026」を2月に中野キャンパスで開催。個性的な作品群を展示。(2/9)
[20]東京都立大学(東京) 28年4月に国際系新学部「共創学部」の開設を構想中。幅広い学問領域の知を集合させた学びを通して、持続可能な都市の実現や地球規模の課題解決に挑むソーシャルイノベーション人材を育成する。(2/13)
[21]甲南大学(兵庫) 同大が展開する「KONAN スポーツクラブ」で、26年度新設の「体操競技ビギナー」コース(中学生対象)が神戸市の中学校部活動地域移行制度「KOBE◆KATSU(コベカツ)」に承認。(2/12)
[22]同志社大学(京都) 同志社創立150周年を記念し、アニメーション「二百年の夢を見た。」を制作、公式YouTubeで公開。(2/2)
[23]中央大学(東京) 27年4月開設予定の「スポーツ情報学部」(仮称、設置構想中)の特設サイトを公開。(1/28)
[24]名古屋大学(愛知) 「新しい環境では眠りにくい」という身近な現象を説明する神経基盤を同大らの研究グループが解明。(2/3)
[25]名城大学(愛知) 開学100周年記念プロジェクトとして「名城大学の思い出」を縦型ショートドラマ化し、TikTokで発信。(1/29)
[26]甲南大学(兵庫) 3月にアレックス・バーブ氏による講演会「漢字が語る日本文化 ― フランス人のまなざしから」を開催。(1/27)
[27]共立女子大学(東京) リーダーシップ入門の演習授業を全学で必修化。実務家と協働し、学生の課題解決能力を育成。(2/10)
[28]酪農学園大学(北海道) 「農場・Renewプロジェクト」として、最先端のロボット技術やAI、ICTを導入した「未来型ロボット牛舎」を建設中。自動搾乳や給餌、除糞などのロボット設備を導入し、動物福祉に配慮した飼育環境の実現を図る。(2/9)
[29]産業能率大学(東京) 授業アンケートなど、学内のデータを基にした大学教育改革をテーマに「公開FD研修会」を2月に開催。(1/30)
[30]青山学院大学(東京) JTBと包括連携協定を締結。産学連携でグローバル人材の育成や持続可能な社会モデルの構築を目指す。(1/27)
※タイトルの一部はプレスセンター編集部で編集しています。