宮崎国際大学

宮崎国際大学のピーター・ヴァービーク教授の書評が学術誌「サイエンス」に掲載――注目の新学問分野「自然保護心理学」

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自然と人間との相互供与関係を自然保護の観点から研究する新しい学問分野「自然保護心理学」の分野の専門書「Conservation Psychology: Understanding and Promoting Human Care for Nature」(Susan Clayton, Gene Myers著)について、宮崎国際大学のピーター・ヴァービーク教授の書いた書評が、世界で最も権威ある学術雑誌の一つ「サイエンス」8月14日号に掲載された。ヴァービーク教授は、5年前から1年生向けの必修科目「心理学特論」の授業で、自然保護心理学を取り入れている。

 「自然保護心理学(conservation psychology)」は、近年、環境保護への関心が世界的な高まりを見せるにつれて注目されるようになった学問分野である。宮崎国際大学のピーター・ヴァービーク教授は、これを5年前から1年生向けの「心理学特論」の授業に取り入れ、自然保護についての実践的な授業を行ってきた。
 学生参加型のアクティブラーニングの授業の中で、学生は自ら課題を見つけ、調べ、発表するという主体的な取り組みが求められる。それらを通し、地域のみならず地球規模での環境問題や、生物の多様性および生物が存続可能な気候を維持するための行動様式を推し進めることについて、批判的、分析的に考えることを学んでいく。
 
 授業の中で行われたプロジェクトの一例としては、5年前から毎年実施している地元宮崎市のフェニックス自然動物園との共同プロジェクトが挙げられる。このプロジェクトでは、同園で飼育されている5種類の猿を使った「環境向上/Environmental enrichment」の実験を実施した。自然とかけ離れた「監禁」状態に置かれている動物たちの環境を、動物本来の自然環境に、あるいは動物たちの本能に少しでも則したものに近づけ、動物にとっての環境を向上させようといった試みは、世界各地の動物園で行われているものだ。
 学生は、数回の実験で得たデータをクラスに持ち帰り、グラフや表を含めたレポートに仕上げる。学生はこうした学習によって専門的な内容を理解するとともに、心理学研究で広く用いられる実験手法、データの収集、処理方法、レポート作成手順などの各スキルを身に付けていく。
 
◆参考URL: http://www.sciencemag.org/cgi/content/short/325/5942/817-a
 
【自然保護心理学 概要】
 「自然保護心理学」では、自然保護のために人間がどのように関わるべきかを理解し、促進することに焦点をおいている。生物学的多様性の損失や気候変動は、環境問題の中でも人間の健康や幸福を脅かす2大脅威であると言える。このどちらも、原因は人間の日々の活動によるところが大きい。解決できるかどうかは我々がライフスタイルや行動を変えることができるかどうかにかかっているのである。そして、心理学者はこの問題の解決に大きな役割を担っている。
 大抵の人がグローバルウォーミングを人類の存続にとっての脅威であるとの認識を持っているものの、生物の多様性が人間の健康や幸福にどのような影響を与えるかについては未だ広く理解されているとは言えない。生物学的多様性は健全なエコシステムになくてはならないものだ。エコシステムが健全に機能しているからこそ、社会は食料や燃料、清潔な水、規則正しい気候を得ることができる。このエコシステムへの脅威は、我々の存続自体への脅威なのである。自然が人類の存続にまで関わる非常に重要な問題であるということを理解することが、自然保護を人類全体の問題にするのである。
 
【ヴァービーク教授について】
◆「人間の発達段階で反社会的な攻撃性がどのように生まれるか」についてのタイ闘魚を使った研究に対し、米国Harry Frank Guggenheim Foundationからの助成金を受けた。
 http://www.hfg.org/
◆電子百科事典ウィキペディア(英語版)の中の「Ethology 動物行動学」の記載中、新学問分野として「Peace Ethology 平和動物行動学」をヴァービーク教授が提唱したと記載された。
 http://en.wikipedia.org/wiki/Ethology
 
▼本件に関する問い合わせ先
 宮崎国際大学 入試広報室
 宮崎県清武町加納1405
 TEL: 0985-85-5931
 FAX: 0985-84-3396
 E-mail: admissions@miyazaki-mic.ac.jp
 http://www.mic.ac.jp

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